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第二章 新しい町

商業ギルド

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商業ギルドへはアミの姿で行かせる。
兄弟も一緒に住む家を探すのだから当然だ。

「部屋を借りたいんですけど、兄弟3人で住みたいんです」

「失礼ですが身分証はお持ちですか?」

「いえ、この街に来たばかりで……」

「お仕事は」

「これから探そうと思っています」

「目がお悪いようですが……」

「魔法で、ある程度はわかります」

「それって、字の読み書きはできるんですか?」

「……読むのは大丈夫です。書くのはやったことないので練習しないと……」

「計算はできますか?」

「えっ、で、できるそうです……」

「じゃあ、これを計算してみてください」

カウンター嬢は紙に数字を書き出した。

10+25=

『35だ』

「35です」

「これを2倍して」

「70です」

「じゃあ、それを10で割って」

「7です」

「7×11は」

「77です」

「金貨3枚と銀貨50枚と銅貨129枚だといくらになりますか?」

「金貨9枚と、……銀貨2枚、……銅貨が9枚です」

「ふうん、うちで働く気ある?」

「えっ……」

「子供ができちゃって、辞める子がいるのよ。
タイミングはよかったわね。
これだけ計算ができれば、優秀よ。
その気があるなら上司に推薦してあげるけど」

「書くのは練習します。お願いします」

「じゃあ、こっちに来て、所長と面接よ」

トントン 「失礼します」

「なんだ?」

「マリーの後釜を見つけましたわ」

「うん?目を閉じているが……見えないのか」

「魔法で見ているそうです。
計算はばっちりでした」

「読み書きはできるのか?」

「読めるんですが、書くのはこれから練習するそうです」

「いつから来られる」

「えっ、引っ越ししてからですから、一週間いただければ……あっ、荷物はないので、弟と妹を連れてくるだけです。
3日あれば……」

「住むところは?」

「探しているようなので、裏がいいんじゃないかと」

「年齢は」

「幼く見えますが18だそうです」

「それなら、10日後までに字を書けるように練習しろ。
出勤はそれからでいい。
給料は、半年は見習いだ。月に金貨1枚と銀貨5枚。
採用になったら、金貨3枚だ」

「えっ、そんなに頂けるんですか!」

「それから、髪を切ってこい。
窓口は印象が大事だ。
着るものも、そんな冒険者のような恰好じゃだめだ。
アキラのような女らしい服装にしろ」

「わ、わかりました」

「アキラ、支度金を出してやれ」

「はい」

ギルドで身分証を発行してもらい、金貨2枚の支度金をいただきました。

洋服屋さんの場所と整髪店を教えてもらい、裏に連れていかれます。

「裏といっても、同じ建物よ。
出入り口が違うから、長屋みたいな感じね。
3室あって、主に旅の商人に短期貸し出ししてるの。
でも、ほとんどが宿屋に泊まるからあまり借り手はいないのよ」

「今は?」

「今は1室だけ貸し出し中。
それでも、週に一度は私たちが掃除しなくっちゃいけないし、一部屋でも減ってくれれば職員も助かるの。
月に金貨1枚なんだけど、職員特典で銀貨5枚にできるわ。
2部屋しかないけど、馬車を停めるスペースもあるし、倉庫付きよどうかしら?」

「こ、こんなちゃんとしたところに住めるんですか……、夢みたいです……うっ」

「泣くな~!」
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