上 下
4 / 26
第一章 なんだよ道具袋って

同調

しおりを挟む
「おやおや、ひどいヤツがいるもんだねえ。
ほら立って、杖がないと歩けないだろう。
ほう、これなら……
おじさんが連れて行ってやろう」

何がコレナラなんだ……、おいアミ、付いていくんじゃないぞ!

「イヤッ、離してください!やめて!」 ザワザワ

「騒ぐんじゃないよ」 ドン ウグッ

おい、アミ!どうした!

殴られて、担がれてるのか……

おい、神さま!聞いてるんだろ!
何とかしてくれよ!
こいつは売られても生きていけるだろうが、弟と妹は死んでしまうぞ……

……そうだよな、別にそれほど珍しい事じゃねえよな。
世の中には、もっと残酷な事だっていっぱいあるよな。
この状況で、手も足もでねえ俺って何なんだよ。

「いやぁ、やめて! グッ、いたい、いたい……、やめ……て……」

くそぉ!
絶対にアミの目の代わりになって、非力なこいつをサポートしてやる!

チャラリラリン♪

なんだ?

ステータス!

********************
名前:アミの道具袋
職業:道具袋
LV:6
材質:魔力コーティング綿100%
HP:50
MP:30
スキル:物理的収納++
     空間収納
形状:ひも付き
魔法:サーチ
    身体強化
    治癒
特技:思考
    魔力の調教師
    視覚同調
    生体保護
    念話
従魔力:ポチ++

********************

なんだ、……ホントに目の代わりになれんのか?
あいつの手助けになってやれんのか?
目?
こいつか『サーチ』
おお、周りが見える。
アミ、どこだアミ……
くそお、やられちまったのかよ……だが、まだだ。まだ、生きてる。

『アミ、アミ、聞こえるか』

「いたい……」

『こっちへ来い、道具袋だ』

「どうぐ……ぶくろ……」

『俺を、袋を手に取れ』

「ん、袋に何か入ってるのか?
空じゃねえか、ほらよ」

パサッ

「明日から客をとるんだ、今日は身体をキレイにして寝ろ」

ガチャン

売春宿かよ。

『生体保護!』
『視覚同調!』
『治癒!』

『アミ、聞こえるか、声を出さなくてもいい、頭の中で考えろ』

『はい……どうなって……』

『俺は道具袋だ』

『どうぐぶくろ……』

『目を閉じていても周りが見えるな』

『想像の世界ではなく、これが現実の世界』

『こうやって、俺と一緒ならば見ることができる』

『手が青い布で覆われている……』

『今は、俺がお前の身体を覆っている』

『ここから逃げる前に、お前の能力を確認したい。
ステータスと言ってみろ』

「ステータス」

********************
名前:アミ
職業:雑貨店店員
LV:10
HP:50
MP:100
スキル:気配察知
     闇制御
     飛行
装備:道具袋
    布の服
魔法:氷魔法 LV.1
    闇魔法 LV.1
    身体強化 LV.1
    クリーン LV.5
特技:杖術
    闇の目
    暗転
    影移動
    念話

********************

『これがお前の能力だ。まずは影になっているところを踏んで影移動と念じてみろ』

『こうやって、影移動!』

シュン

『思った通りだ。
ここは影の中で、明るくなっているところが影だ。
すきな所から出られる』

『どこで出るの?』

『その前に、金目のものを頂いていこう。
それと、さっきのヤツが二度と悪いことをしないように懲らしめてやらないとな』

『痛かった……』

『そうだ、子宮の中をクリーンでキレイにしておけ。
こんな事で、妊娠なんてしたくないだろ』

『うん、クリーン!』

『おっ、そこにある金貨を全部頂いていこう』

『どうやって?』

『影の中にあるから、直接掴んでくれ』

『こう?』

『収納!』

『き、消えた』

『俺の本体である、袋の中に収納しただけだよ。
さっ、全部頂いていこう』


『あっ、さっきのヤツだ』

『じゃあ、寝てる側にまわって、直接心臓を凍らせてやれ』

『フリーズ!』

「うぐっ」

5人いたが、全部同じように殺していく。
女の居る部屋は全部鍵を開けて逃がしてやる。

『忘れ物はないか?』

『……パンツ』

痕跡を残さないようにして外へ出た。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

父が死んだのでようやく邪魔な女とその息子を処分できる

兎屋亀吉
恋愛
伯爵家の当主だった父が亡くなりました。これでようやく、父の愛妾として我が物顔で屋敷内をうろつくばい菌のような女とその息子を処分することができます。父が死ねば息子が当主になれるとでも思ったのかもしれませんが、父がいなくなった今となっては思う通りになることなど何一つありませんよ。今まで父の威を借りてさんざんいびってくれた仕返しといきましょうか。根に持つタイプの陰険女主人公。

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

兄のお嫁さんに嫌がらせをされるので、全てを暴露しようと思います

きんもくせい
恋愛
リルベール侯爵家に嫁いできた子爵令嬢、ナタリーは、最初は純朴そうな少女だった。積極的に雑事をこなし、兄と仲睦まじく話す彼女は、徐々に家族に受け入れられ、気に入られていく。しかし、主人公のソフィアに対しては冷たく、嫌がらせばかりをしてくる。初めは些細なものだったが、それらのいじめは日々悪化していき、痺れを切らしたソフィアは、両家の食事会で…… 10/1追記 ※本作品が中途半端な状態で完結表記になっているのは、本編自体が完結しているためです。 ありがたいことに、ソフィアのその後を見たいと言うお声をいただいたので、番外編という形で作品完結後も連載を続けさせて頂いております。紛らわしいことになってしまい申し訳ございません。 また、日々の感想や応援などの反応をくださったり、この作品に目を通してくれる皆様方、本当にありがとうございます。これからも作品を宜しくお願い致します。 きんもくせい

心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。

木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。 そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。 ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。 そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。 こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※約4000文字のショートショートです。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4500文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

処理中です...