点検口をあけるとそこは異世界だった

モモん

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第二章 国交

リゾート

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 ゴーレム鉄道自体は、それほど難しいことではない。
ただ、地上を高速で走行させると、それなりに事故の可能性がある。
航空便も検討したようだが、ランは地下鉄を選択した。
土を固めてトンネルを作ってしまうのだ。

 先頭車両自体をドリル形状にして、万一トンネルが崩れた場合でも自走可能としている。
この地下鉄は、磁気浮上式を取り入れており、推進力は風魔法を使っている。
タイヤもついており、速度が上がるにつれて車載ジェネレーターにより発電され、その磁力により浮上する仕組みである。
日に一回はメンテナンス車両を走らせトンネル自体を補強していく。

 鉄道の利点は、積載量にある。
水揚げされた魚類だけでなく、農作物・木材・人間を輸送するのだ。

「地下鉄とは、ランにしては地味な方法を選んだな」

「そうでもないの、時速300kmを超える地下鉄なんて史上初なの」

「チロルにもコメが供給されるようになって、生活も安定してきたな」

「おコメも魚も、売り上げはリュージアムに還元されるから、こっちもウハウハなの」

「チロルはラーメンを生産させてるから、お互い様だろう」

「ところがどっこい、スープはリュージアム産なの」

「そうなると、チロルのほうでも何かやらせるか」

「チロルは、与えられることに慣れすぎちゃってるから難しいの。
リュージアムは働かなければ食べていけないから必死で働くし、自分たちで工夫するくせがついてるの」

「リュージアムだって、相当与えてるだろう」

「生活に必要なものと輸送手段だけなの。あとは自分たちで工夫してるの」

「そういえば、リゾートの方はどうなってるんだ」

「条件整備は終わって、販売を開始してるの。
予約で8割は埋まってるから問題ないの」

「ホントに一軒10億で売れたのかよ」

「オプションのメイドゴーレムのリースも好評なの。
あとはお城を改築した滞在型ホテルのオープンと直行便の開拓なの」



 某国、原子力潜水艦内部。

「おい、あの島の状況を映像に撮ると、なんで山と木しか映らないんだ」

「不明です!」

「しかも、一定の海域に入るといつの間にかUターンしてるじゃないか」

「艦長、島から通信です。
『詮索はヤメロ、これ以上接近すると敵対行動とみなす』
以上です!」

「くそっ、200カイリ以内には入らせないというのか。
領海は12カイリだぞ。なぜ22kmまで入れんのだ。
同盟国だぞ。国の方は何と言っている」

「チロル島は、自治権を保有しているため、国は関与できないとのことです。
チロル島からは、目的を明確にしない限り応じないそうです」

「くそっ、漁をするのじゃなく、鉱物採取が目的でもないならどういえばいい。
生物なら行けるんだろう、偵察部隊はどうだ」

「試しましたが、動力を使ったものは入れません。
370km人力で泳ぐとなると…」

「偵察衛星もダメ、無人機は帰ってこない。海もダメ。
お手上げだと司令部に報告しとけ。帰還する」

「了解です」


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