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第二章 国交
集合住宅
しおりを挟む「この国は敗戦国なんです。それをお忘れなく。
明日、城の跡地に3階建ての集合住宅を作ります。部屋は3部屋で5人以下の家族に一戸貸与します。
3日後に、貴族街は取り壊しますので、早めに申し込んで引っ越ししてください」
「メイドや執事の部屋はどうするんだ」
「メイドや執事を雇用するのは自由ですが、お給料を払えるんですか?」
「まさか、家族だけで生活しろというのか……」
「当然です。
4日後に要職者会議を開いて国の運営について話し合います。
各ギルドの代表者と、組合の代表者。城勤めの課長さんは10時にこの場所に集合してください。
それから、暫定政府の事務職を募集します。
必要なスキルは文字の読み書きと簡単な計算ができること。希望者はそのまま残ってください。以上です」
「城の職員はどうなるんですか?」
「城なんてどこにあるんですか?当然ですが全員解雇です。
事務職になりたいのなら、この場所に残ってください」
「待て、各局の局長や副局長はどうなるんだ?」
「総務局長は暫定的に賠償金回収担当になっていただきますが、それ以外は必要ありません」
「さてと、地球で手ごろな島を買い取って、城と貴族街を移築させるの。
チロル商会によるリゾート開発なの」
「島なんて買えるのか?」
「まったく問題ないの。
専用の人工衛星を設置して通信環境を整えるの。
それでいて、外部からの干渉を遮断すればいいの。
偵察衛星も無効だし、沖合からの撮影もできない、完全なプライベートタイムが実現するの。
滑走路を作って、メイドゴーレムも大勢配置するの。
世界中のセレブに口コミで広げれば完璧」
「確かに、ニーズはありそうだな」
「そこで、リズ様のプロモを撮るの。
イルカと泳いで、クジラに乗るの。
クジラの餌付けシーンなんて宣伝効果抜群なの」
「そ、それは、昔夢見たことがある……」
「とっておきは、マーメイド型ゴーレムなの」
「そんなの登場させたら、世界中に衝撃が走るぞ!」
「みんなグラフィックだと思うの。
真実は、現地を訪れた人だけが知ってるの」
「わかった。やってみろ。俺も楽しみだ」
「らじゃーなの」
「ラムダ、ギリシャシリーズをフルセットで増産するの。
その次はマーメイドシリーズなの」
ギリシャシリーズとは、ギリシャ文字を名前にした24人組の事である。
「承知いたしました」
「それから、白イルカシリーズと白マッコウシリーズ。
ジェットスキー型ゴーレムもね」
「承知いたしました」
「カノンさん、本当にここに住んでいいんですか?」
「ええ、女性用単身寮ですから」
「食堂があって、広い共同浴場に個室。
個室にも水浴び用のシャワールームというのがあって、完全防音。
ベッドも備え付けで、事務机もあるなんて……」
「その代わり、居住者と許可された者しか入れませんけどね」
「なんでもやりますから、言いつけてください」
「期待していますよ」
一階にはコンビニもあり、使用料は給料から天引きされる。
この世界では手に入らないペットボトルの飲み物や、Tシャツからサンダルまで購入できる。
もちろん、部屋には冷蔵庫と魔導コンロもあり、自炊することも可能だ。
国の職員寮は、他に男性単身寮と家族寮もあり、同じイメージである。
一方、一般向けの集合住宅には、そこまでの設備はない。
総務局長は父娘の二人暮らしだそうで、別々の単身寮に決まった。
「私は、もともと平民の事務官です。
局長になって男爵位を与えられ、娘の婚約で屋敷を与えられましたが、妻と死別してからはフランと二人暮らしです。
二人とも、自分の面倒くらい自分でみられますよ」
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