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第二章 国交

拡散はできんのか

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「ノルンよ、お主には今回リングに書かれた呪文がわかるのであろう」

「ええ、書き込んでいるのは私たちですから」

「それを、皆に教えることはできぬのか」

「メリル導師、実は直接呪文を唱えて試したんです」

「ほう、それで」

「自分の力量に見合ったものしか発動しませんでした」

「なぜだ」

「先生に確認したのですが、おそらく感情がブレーキになっているのだろうと言われました。
記録された文字は、魔法陣と同じで記号として魔法を発動するのに対して、言葉には思いが入ります」

「その思いが邪魔をしていると、なるほどな」

「それと、魔法師にとってMP1の魔法は、己を鍛えるチャンスを奪うとも言われました」

「確かに、数をこなして魔法は上達するかもしれんが、魔力を練ったりせんからな。
わしは、ようやく地竜さまの見た目とのギャップを埋められたように感じているのだ。
あれは、そんなに生易しい存在ではないよな」

「おっしゃる通りです。カベオは、サワタリ様に近しいために、地竜さまの手ほどきを受けています。
今回書き込み出来た古き時代の魔法は、カベオが古魔法文字を読めたからです。
しかも完璧に」

「クククッ、禁書も含めてすべての本を読むことができて、魔道具への書き込みもできるとなれば人間の中では最強かもな」

「笑い事ではありませんよ。
サワタリ様の身内である以上、例えば五竜様から見ると優先順位の上位に……おそらく10本の指の中に入るでしょう」

「本人にその自覚がないだけかよ」

「いえ、認識はしているのですが、野望や欲といったものに興味がないのだろうと見ています」

「そういう人間の作る魔道具か。楽しみになってきたわい」



「おい、ノルン。こいつはやみつきになりそうだぞ」

「昨日は楽しそうでしたね」

「ああ、半日跳び続けて、魔法を打ちまくったからな。
それでも魔力は余裕だった。
しかも効果9倍の影響か高速移動の影響か分からないが、すごい速度で跳び回れたのは間違いない」

「今日は空砲で空中戦ですか」

「ああ、そっちの攻撃も確認させてもらうぞ。
こっちは、紅白戦で楽しませてもらうがな」

「先輩は敵方ですか」

「ああ、地震を喰らってから飛び出す設定だ」

「何とか足止めしてレンズを味わってもらいたいですね」

「できるもんならやってみな。
自分たちで作った完璧な防御を崩せるならな」

「あと一時間……」

「じゃあ後でな」



「余裕なのも悔しいな。
カベオ、なんか思いつかないか」

「うーん、そうだな……」

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