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第二章 国交

ミクル

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 メイドゴーレム達は手際よく壁面をビニールシートで覆い、廊下側の壁を切り出していく。
切り出した欠片は収納に格納するので、残骸すら残らない。
床面に発泡コンクリートを設置し、壁と天井にウレタンを吹き付けていく。多分、硬質ウレタンフォームとかいうやつだろう。
その上にステンレス仕上げの断熱パネルを組み上げていく。
各壁には、天井までのスチール棚を組み、最上段に魔道具らしきものを設置する。
冷気は下に降りてくるので理にかなっている。
脚立に上り、人間には無理な姿勢で電動ドライバーを駆使する姿は芸術的だ。

 入り口側には、上下に2本の鉄骨を組み、鉄骨を挟み込むように断熱パネルを設置。間の空間に硬質ウレタンフォームを充填していく。
そして、枠付きのドアを据え付ける。これもステンレス製の耐熱構造だろう。
最後に魔道具用の配線を行い、ドアレバーの並びに10cmほどの丸いスイッチを付けて完成だ。

「ここから魔力を補充するんだな」

「はい。一日1回、緑色になるまで補充してください」

「分かった。俺は魔法局に行くから冷凍庫の方も頼む」

「かしこまりました」

「うん、見事な手際だったぞ」

「はっ、はい。ありがとうございます」

 頬をポッと赤らめる。
こういうところに、ランのあざとさが見えるのだが、悪い気はしない。
免疫のないイワンは堕ちるだろうな……


 魔法局にいき、局長と魔法師数名に同行してもらう。

「ここが冷蔵室と冷凍室になります。魔法師の方にはお手数ですが、どなたか一日一回、このスイッチが緑色になるまで魔力を充填して頂きたいのです」

「ああ、王から話は聞いている。緑色になるまでだな」

「仕組みを見せてもらいたいのだがよろしいかな」

「あっ、どうぞ。棚の上についているのが魔道具になります」

「魔道具の中身はみられないのか……」

「はあ、設置済みなものですから」

「それでは、我ら魔法師にはメリットがないではないか。
我らは魔力を提供する道具ではないぞ!」

「はあ、局長、どうなっているんですか」

「面目ない……、魔法師全体を掌握しているのはこちらのメリル師なのだよ……」

Pululu

「マスター、転移のアプリを起動してなの。そっちに行くの」

 アプリを起動すると、ランが現れた。

「なっ、どうやって現れた」

「転移の術式なの。説明しても理解できないの多分」

「ワシ等を愚弄するのか、小娘風情が!」

「私は地竜なの。この世界の始まりから生きてるの。無駄な会話は嫌いだから本題なの。
これが魔道具の基盤で、術式はこの魔石に書き込むの。これでOKなの。
あなた程度では、魔石を解読できないし、魔道具を作ろうなんて己の力量を弁えてないだけなの。
えっと、あなたと、そっちのあなたは可能性あるわ。
勉強したいなら、ミクルが教えるの」

「ふ、不愉快じゃ!引き上げるぞ!」

「局長、そいつクビにするの。
そいつ程度の魔法じゃ、これから役に立たないの。
代わりにミクルが先生になってあげるの」

「ミクルとは?」

「あっ、はいミクルでございます」

 奥から作業中のミクルが現れた。
緑のロングヘアーをツインテールにして、メイドの衣装に身を包んだミクルだ。
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