点検口をあけるとそこは異世界だった

モモん

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第一章 異国

オルトロス

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「それ、走行じゃなくって飛行だから!」

『ええ。羽さえあれば飛んでみせますとも!
そこは今後にご期待ください。
……というか、素材の追加をお願いします』

「えっ、マジですか」

『強度は必要ありません。
膜のようなもので結構ですから』

「わかった。
ところで、4人乗っても大丈夫か?」

問題ないとのことだった。
狭ければ、荷台にベンチでも設置して座れば、魔力で固定できるって……自転車って設定はどうなった。

王様たちを乗せてデモ走行?したが、クレクレ君と化したのは容易に想像できるだろう。
だが、こんなものをやる訳がない。指示すれば自動走行も可能なのだ。
リズにとって、実家まで片道5分という環境が整った。

一度城に戻り、王妃様とお婆ちゃんに乗ってもらう。
運転はリズだ。
当然、男二人が運転させろと騒いだが無視した。
リズはスピードに耐性があるようだ。ランドのサポートがなかったらどうなっていた事か。

リズは城に残ることになり、俺はランドでダンジョンへ戻った。

カベオたちもお役御免だ。エリクサーのことを話すと飛んで帰っていった。

そのあと、ランドと今後のことについて話していると、突然ランドが叫んだ。

『何か来ます。
強力な……』

言い終わる前にランドは跳ね飛ばされ、俺は黒い獣に地面に押し倒された……
その牙が顔に近づき……ベロンベロンと顔を嘗め回された。

「やっ、やめろ」

「バウ?」

ん、止まった……

「苦しいからどいてくれ」

「くぅーん……」
寂しそうに一泣きして俺の上からどいてくれた。

人の言葉がわかるのかよ。
黒犬は伏せをして尻尾をブンブンと振っている。
こいつは褒めて欲しい仕草だな。

「よしよし、お前は利口だな。
毛もモフモフじゃないか」

褒めながら首筋に沿って撫でていく。と、「オルトロス~」と呼ぶ声がした。
黒犬:オルトロスは「わふん」と一泣きしたが動く気配はない。

少しして、微かな地響きと共に、もう一頭灰色の狼が現れた。

「どうしたオルトロス?」

声の主は灰色狼の背から降りてきた女性だ。
10代後半といったところか。キトンとかいう彫刻のニケ像なんかとおなじ衣装を着ている。

「珍しいな、オルトロスが人に懐いておるわ……
そうか、お主サワタリの血を引く者だな」

「サワタリを知っているのか?」

「ああ、私が呼んだんだからな」

「別に招待された覚えはないが」

「そうか、まだ理(コトワリ)は降りていないのだな」

「ことわり?」

「サワタリの理だ。
サワタリ一族の、記憶が蓄積されたものらしい。
まあ、私の方はそこまで急がないから、理を得てからでもよいぞ」

「呼んだって事は、何か用事があるんだな」

「ああ、お主の蓄積した魔力を貰い受けるだけだ。
簡単な用事だろ」

「どうやるんだ?
内臓をよこせとかは無しで頼む。
それとな、俺の愛車がそこのオルトラスとかいう犬に壊されたんだ。
飼い主として何とかしてくれ」

視線の先には、半壊したランドがある。

「ふむ、復元となるとそれなりの魔力量が必要だが、どうするかね。
魔力の受け渡しは精液で行う。せっくすでも良いが、神経を刺激すれば簡単に採取できるから好きな方法を選べ。
ふぇらでも良いぞ。
3日間射精していない精子が必要だが、どうかな?」

「わりい……2日前に出した」

「それでは、地竜の復元も明日まで待ってもらう事になるな」

「地竜?」
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