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第一章 異国
ランドドラゴン
しおりを挟む「それでリュウジ、仕事はどうするんだ?
必要なら俺の内務局にポストを用意するぞ。
リュウジの世界を参考に、アドバイスしてもらえると俺も助かる」
「お気持ちはうれしいです。
俺の知識が必要なら、いつでも協力させてもらいます。
ただ、今は俺の世界の品がどんな影響をもたらすのか、雑貨屋みたいな事をやりながらリサーチしようかなと思っています」
「おお、あの傷薬や回復薬だな。
確かに、あれが出回ればダンジョンでの死傷者はぐっと減りそうだな」
「ええ、それとあそこには俺の世界との通路がありますから、あそこを拡張して店でも作ってみようかなと」
「そうすると生活の拠点はリュウジの世界だな。
リザはそれでいいのか?」
「向こうの世界、とても魅力的で過ごしやすいわ。
それに、ここへ来るのもそんなに時間はかからないし、リュウジ様と二人で始めるお店って楽しそう」
「だが、移動手段はあるのか?」
「今日来た時も、自分の乗り物で来ましたから、問題ありませんよ」
「乗り物?」
「ええ、ちょっとした魔道具みたいなもんです」
「魔道具だと!見せてくれぬか」
事付けを残して城の入り口まで移動すると、マイカーが変化していた。
タグを確認すると
-電動アシスト機能付き魔動自転車:ランド・ドラゴン-
・乗車定員:3人
・最高速度:50km/h
・連続航続距離;100km
・魔力/電力の相互変換機能有
荷台まで一体化した三輪トライク……いやバギーみたいになっていた。
カウルみたいな外装に覆われ、ファイヤーパターンが刻まれている。
『お帰りなさいませご主人様♪』
「なんでこうなった?」
『電気を魔力に変換して、CPUが進化しました。
こちらの世界に対応した形状です。
ランドとお呼びください。
なお、発電機能も付加しましたので、追加充電は月1回程度で充分です』
「ペダルは?」
『ランドによる自走ですから、ご主人様は操作だけです』
「それ……自転車じゃねーよ……
日本で走れないじゃんよ……」
『私も、元の形状に戻るつもりはございません。
とりあえずご乗車ください』
厨二的な外観に国王と王子の目が輝いている。
「あまりに変わってしまったので、最初は一人で乗ってみます」
二人があからさまにガッカリな顔をしたが、これにいきなり他人を乗せられねえよ。
「どうやって起動するんだ?」
『ハンドルに手を置いていただければ魔力を感知して起動します』
言われたとおりにすると、キュルルルッ!フォン!フォン!!と音がする。
「内燃機関ねーよ!しかもホークⅡの排気音じゃねえか!」
『音だけでございす。こうしたマシンは雰囲気が大切ですから。
あとはスロットル操作とブレーキ操作のみでございす』
「ブレーキは左後ろの右前でいいのか?ギアチェンジは?」
『ブレーキはその通りでございます。ギアシフトは自動遠心クラッチを採用しております』
「自転車にそんな機能ねーよ!」
『嘘でございます。
速度からわたくしが最適なギアを選択いたします』
ブロロロロッ……スロットル操作にあわせて排気音が変わっていく。無駄に芸が細かい……
『隣でホークⅡ先輩の排気音を聞いており、あこがれておりました。
いつかこの音を奏でたいと……今日、夢がかないました』
「まあ、その気持ちはわかる」
ブロロロロッ、排気音は聞こえるし景色が流れていくから速度もそれなりなんだと認識はできる。
だが、振動が伝わってこない。
「随分静かなんだな、振動もないし」
『はい!
激しい特訓の末、重力制御を覚えました。
現在は地表から5cm浮いて時速40kmで走行しています』
「それ、走行じゃなくって飛行だから!
排気音も意味ないじゃん!」
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