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序章 点検口の先は異世界だった

臨時モデル

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「冗談なしね。
今この場所と俺の世界はつながっているようだけど、帰れなくなったらどうしてくれるの?
アメイヤちゃんが一生面倒をみてくれるの?」

「それは……無理だ」

「じゃあ、姫さんは俺が預かるしかないっしょ。
明日の同じ時間に、できれば親に……この場合王妃さんか……
10年前、姫さんに会っていてとあまり変わってない人。
爺ちゃんとか婆ちゃんが一番かな……一緒に連れてきてよ」

「でも、突然そんなことを言っても、信じてもらえないと思いますけど……」

「それなら、マキドンと回復薬を持っていけば信じるっしょ。
ついでに、カロリー・メイドもおまけするよ。
36時間持続する精力剤。未検証だけどさ……」

「あっ、それってオヤクソクってやつですね」

「……だけど……試すなら半分以下にしておきなよ。
36時間はさすがに……」

全身鎧の中で勃起したらどうなるのか……ちょっと怖い……

「あっ、何かあった場合に備えて、二・三人残しておいてよ。
じゃあ、あとはよろしくね」

寝袋のままリズを抱えて部屋に戻り、ベッドにそのまま寝かせる。
あらためてリズを見るが、とんでもない美少女だった。

ストレートの黒髪は若干緑がかっており、肩口で切りそろえられている。
白磁のような肌は人形のようだ。
切れ長の目にモスグリーンの瞳。長いまつ毛にすっと通った鼻筋。
胸は小さいがウエストは引き締まっており、いわゆるスレンダーな体型だ。

リズは1時間ほどで目を覚ました。

「おはよう」

少し考えたあとで 「おはようございます、リュウ兄さま」 と返してきた。

「明日迎えがくるまで、この部屋ですごしてもらう。
丸一日あるから、少し外へ出て、買い物したり食事をしようと思うけど、何かリクエストあるかな?」

リズはその瞳に喜色を浮かべながらフルフルと首を振った。

「兄さまにお任せいたします」.

俺は独自の価値観を持っている。
相手との関係性を金額に換算するのだ……人に知られたら、嫌な奴だと思われる。間違いない……
対リズについては

【マイナス】
・ゼリー飲料……135円

【プラス】
・綺麗なおっぱい拝観……10000円
・若い女性とのディープキス……20000円
・お兄様呼びプレイ……5000円

治療はアメイヤの依頼なのでリズとの収支には関係ない。
という訳で、リズは俺から35000円の対価を得る権利を有している。

ちなみに、宿泊等は俺の好意だ。好意は金額に換算できない。

まあ、今回は向こうの世界で金貨1枚分の商いをすれば回収可能だろう。
500円硬貨ほどの金貨で、それくらいの価値になる。

リズにグレーのパーカーを着せて近くのショッピングモールへ出かける。
中高生向けのショップ店員に、足元から下着・洋服を3組見繕ってもらうよう4万円を渡して頼んだ。

だがパーカーを脱いだリズを見るなり「店長~!」と走っていってしまった。

結局、4人の店員によるコーデを写真に撮り、店の宣伝に使う代わりに商品は無料という条件で臨時モデルを引き受けることになった。
リズのキラキラアイを見たら、断れなくなってしまったのだ。
店の奥に併設されたブースで試着・撮影を繰り返すこと1時間……
店を出るときにはローファーに黒のニーハイ、緑チェックのミニと白のブラウス。
胸元には瞳のモスグリーンにあわせた大き目のリボン。
海王星にかわってオシオキとかいいそうな服装にかわっていた。
もちろん落ち着いたデザインであり、なるべく目立たない服装で歩きたいという俺の希望を反映したものであるのだが……


例えば、現役のアイドルを連れて歩いたとする。多くの人が振り返り写メを撮ったりするが、興味のない3割程度は素通りする。
これが、ホンモノになると9割近くが振り返る。
オーラとでもいうのか、視界に入っただけで知らずのうちに注目してしまう。
リズもそんなオーラを纏っていた。
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