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第二章
第41話 ヤマトの未来
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「なあ、ホントに砂糖がとれるようになるのか?」
「ああ。俺の世界ではサトウキビとこいつが砂糖の主な原料なんだ。」
6か月後の収穫にあわせて、アルトと北海道諸島に精糖の施設を作っていく。
裁断機やヒートシンク、大窯などだ。
製糖がうまくいったら規模を拡大していけばいい。
一方で、綿花の畑も拡大していく。
紡績はヤマトの未来を支える重要な産業なのだ。
妖精のおかげで人も増え、産業もどんどん拡大していく。
いずれ、ゴーレムたちの手を借りなくても人間だけで運営できるようにしていかなければならない。
ゴーレムたちを排除するわけではない。
対等の立場で共存していくのだ。
翌年、製糖がうまくいったころ、ライラが妊娠した。
メイドさんたちは、自分たちで綿花を摘み、糸を紡いで肌着やおくるみを作ってくれる。
「まだ早いって。」
「準備は早いにこしたことはありません。」
俺の掘り出した”出産と子供の育て方”などを参考にして、分娩もさぽーとしてくれるみたいだ。
「ねっ、彼女たちは自発的に動いてくれるでしょ。」
「うん。女王のいったとおりだね。」
「でも、出産は私の方が先でしてよ。」
「アリスのお腹も大きくなってきたな。予定日は来月だっけ。」
「そうですわ。」
「それで結局どっちで産むんだい。」
「ここに決めていますわ。メイドさんも用意してくれていますし。」
「ちょっと待て。なんでうちなんだ?」
「あら。人手も十分だし、分娩室も最新の設備が整っているんですから当然ではありませんか。」
「いやいや、王妃が自分の国の施設を疑っちゃダメだろ。」
「何をおっしゃいますやら。赤ちゃんがいたら、陛下も政治に集中できないではありませんか。」
「だったら、ブランドンの実家があるだろ。」
「実家の母も、ここに泊りにきますから心配は無用ですわ。」
「なあ、アリス。」
「何でしょう?」
「お前たち夫婦は、ここを別荘とか思ってないよな。」
「別荘ではありません。別宅ですわ。何を今更。食事だって、毎日ここで食べているではありませんか。」
「いやいや、お前たちが勝手に来るだけで、俺が招いているわけじゃない。」
「それは当然ですわ。招かれなくても自宅なら帰ってくるのが道理。」
「お前たちの自宅じゃねえよ。」
「毎日お風呂にもはいっていますし、城では仕事と寝るだけ。生活のベースがどっちにあるのかは一目瞭然ですわ。」
「それで、時々風呂であったのか。」
「家族になら裸をみられるのも抵抗はありませんわ。つまりここは家族の暮らす家。」
「いや……見てねえし……。」
翌月、アリスは元気な男の子を産んだ。
名前はロキと名づけられ、健やかに育っている。
というか、アリスは完全に住み着いてしまった。
俺の前で平気で授乳するし、城にいくのも一日1時間くらい。
国の会議だけ出席して戻ってくる。
その間、ロキの面倒をみているのはメイドさんだ。
そうこうしているうちに、ライラの産み月になり、可愛い女の子が生まれた。
銀髪で耳は俺に似たのか人間のそれだった。
俺たちは娘にアカネと名づけた。
アカネ・ホリスギだ。
「ほう。アカネは私と同等の魔力を持っているな、これなら仕込みがいがあるぞ。」
「わ、私だって魔法ぐらい教えられますよ。」
「ムリムリ、ライラは魔法のセンスないからな。」
「ススム様、イライザ様、議会の時間です。」
「ああそうか、転送を頼む。」
「承知いたしました。」
ヤマト国の運営は、町の代表者15人によって行われている。
俺は相談役で、議長はイライザだ。
現在、一番人数の多いのはゴーレム族でメイドさん中心に総勢2万人を超えている。
次いで多いのがヒト族で18000人くらい。
その次が妖精族の5500人。エルフの2300人と続いていく。
そう、もう少しで5万人に届きそうなのだ。
妖精族のスカウトも落ち着いてきており、人口の増加は穏やかになっているが、それでも止まる気配はない。
ゴーレムの種類も、医師、看護師、警察官と30人単位で増えており、必要な情報……例えば最新の医学書などは、必要に応じて掘り出している。
そして、世界会議も発足させた。
議長国はヤマトで、副議長にアルト。参加国は現在25か国で、月1回の会議が開催されている。
議題の多くは、ヤマトに対する要望であるが、まあ、そのうちに落ち着くだろう。
そんな中で、俺はソードドラゴンと2度目の遭遇をはたした。
俺自身、毎日体に負荷をかけてトレーニングもしていたのだが、まだ遠く及ばなかった。
スピードも足りないし、パワーも不足している。
一時間の戦闘で、ほとんどの攻撃がブロックされた。
スピードはあと30%でパワーも40%は上げないとダメだろう。
だが、戦いの中で、方向性は間違っていないと実感できた。
このまま、世界を一つにまとめて、統一国家を作り上げる。
平等で争いのない世界。
実現はまだまだ先の話だ。
【あとがき】
第二章の終わりです。 第三章まで少し時間をいただきます。ありがとうございました。
「ああ。俺の世界ではサトウキビとこいつが砂糖の主な原料なんだ。」
6か月後の収穫にあわせて、アルトと北海道諸島に精糖の施設を作っていく。
裁断機やヒートシンク、大窯などだ。
製糖がうまくいったら規模を拡大していけばいい。
一方で、綿花の畑も拡大していく。
紡績はヤマトの未来を支える重要な産業なのだ。
妖精のおかげで人も増え、産業もどんどん拡大していく。
いずれ、ゴーレムたちの手を借りなくても人間だけで運営できるようにしていかなければならない。
ゴーレムたちを排除するわけではない。
対等の立場で共存していくのだ。
翌年、製糖がうまくいったころ、ライラが妊娠した。
メイドさんたちは、自分たちで綿花を摘み、糸を紡いで肌着やおくるみを作ってくれる。
「まだ早いって。」
「準備は早いにこしたことはありません。」
俺の掘り出した”出産と子供の育て方”などを参考にして、分娩もさぽーとしてくれるみたいだ。
「ねっ、彼女たちは自発的に動いてくれるでしょ。」
「うん。女王のいったとおりだね。」
「でも、出産は私の方が先でしてよ。」
「アリスのお腹も大きくなってきたな。予定日は来月だっけ。」
「そうですわ。」
「それで結局どっちで産むんだい。」
「ここに決めていますわ。メイドさんも用意してくれていますし。」
「ちょっと待て。なんでうちなんだ?」
「あら。人手も十分だし、分娩室も最新の設備が整っているんですから当然ではありませんか。」
「いやいや、王妃が自分の国の施設を疑っちゃダメだろ。」
「何をおっしゃいますやら。赤ちゃんがいたら、陛下も政治に集中できないではありませんか。」
「だったら、ブランドンの実家があるだろ。」
「実家の母も、ここに泊りにきますから心配は無用ですわ。」
「なあ、アリス。」
「何でしょう?」
「お前たち夫婦は、ここを別荘とか思ってないよな。」
「別荘ではありません。別宅ですわ。何を今更。食事だって、毎日ここで食べているではありませんか。」
「いやいや、お前たちが勝手に来るだけで、俺が招いているわけじゃない。」
「それは当然ですわ。招かれなくても自宅なら帰ってくるのが道理。」
「お前たちの自宅じゃねえよ。」
「毎日お風呂にもはいっていますし、城では仕事と寝るだけ。生活のベースがどっちにあるのかは一目瞭然ですわ。」
「それで、時々風呂であったのか。」
「家族になら裸をみられるのも抵抗はありませんわ。つまりここは家族の暮らす家。」
「いや……見てねえし……。」
翌月、アリスは元気な男の子を産んだ。
名前はロキと名づけられ、健やかに育っている。
というか、アリスは完全に住み着いてしまった。
俺の前で平気で授乳するし、城にいくのも一日1時間くらい。
国の会議だけ出席して戻ってくる。
その間、ロキの面倒をみているのはメイドさんだ。
そうこうしているうちに、ライラの産み月になり、可愛い女の子が生まれた。
銀髪で耳は俺に似たのか人間のそれだった。
俺たちは娘にアカネと名づけた。
アカネ・ホリスギだ。
「ほう。アカネは私と同等の魔力を持っているな、これなら仕込みがいがあるぞ。」
「わ、私だって魔法ぐらい教えられますよ。」
「ムリムリ、ライラは魔法のセンスないからな。」
「ススム様、イライザ様、議会の時間です。」
「ああそうか、転送を頼む。」
「承知いたしました。」
ヤマト国の運営は、町の代表者15人によって行われている。
俺は相談役で、議長はイライザだ。
現在、一番人数の多いのはゴーレム族でメイドさん中心に総勢2万人を超えている。
次いで多いのがヒト族で18000人くらい。
その次が妖精族の5500人。エルフの2300人と続いていく。
そう、もう少しで5万人に届きそうなのだ。
妖精族のスカウトも落ち着いてきており、人口の増加は穏やかになっているが、それでも止まる気配はない。
ゴーレムの種類も、医師、看護師、警察官と30人単位で増えており、必要な情報……例えば最新の医学書などは、必要に応じて掘り出している。
そして、世界会議も発足させた。
議長国はヤマトで、副議長にアルト。参加国は現在25か国で、月1回の会議が開催されている。
議題の多くは、ヤマトに対する要望であるが、まあ、そのうちに落ち着くだろう。
そんな中で、俺はソードドラゴンと2度目の遭遇をはたした。
俺自身、毎日体に負荷をかけてトレーニングもしていたのだが、まだ遠く及ばなかった。
スピードも足りないし、パワーも不足している。
一時間の戦闘で、ほとんどの攻撃がブロックされた。
スピードはあと30%でパワーも40%は上げないとダメだろう。
だが、戦いの中で、方向性は間違っていないと実感できた。
このまま、世界を一つにまとめて、統一国家を作り上げる。
平等で争いのない世界。
実現はまだまだ先の話だ。
【あとがき】
第二章の終わりです。 第三章まで少し時間をいただきます。ありがとうございました。
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