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第一章

ギガンテス

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シルビアの加入で俺は遊撃手に戻った。
バフはシルビアだけにかけてもらい、俺は本来のスタイルに戻る。
これで、Bクラスのオーガだけでなく、Aクラスのギガンテスにも通用するパーティーになった。

「どうする、ギガンテス受注してみる?」

「私は、ちょっと不安だな」 

と、オネエは弱気だ。
無理もない、エースが死んだのはつい先月のことだから。

「一人でも不安なら見送ろう」

「そうね、私もその案に賛成よ」

「私も。別に焦ることないしね」

「えっ、そんなの駄目だよ……」

「オネエのバフは強力だよ。
そのオネエが不安を感じてるんだ、見送るのは当然だな」

「そういうこと。
Aクラスはギガンテス以外にもあるしね」


俺たちはギガンテスを避けて、他の依頼を受注していく。
だが、こちらが避けていても、他の以来の途中で遭遇してしまったのだ。

「シルビア、バフなしでいけるか?」

「多分大丈夫よ」

「エリスは左側から魔法を頼む。俺は右側から攻める」

「了解」

「オネエは今回出番なしだ。
よし、いくぞ!」

「「はい!」」

初手はエリスのアイスニードルだ。
ギガンテスが怯んだすきにシルビアが正面から切り込み、俺が右側から足を攻める。
俺はいつものように、アキレス腱中心に切り付けていく。
シルビアの方は少し押され気味だ。
俺は長い方の短剣に持ち替え、勢いをつくて切り付ける。

やがてエリスのアイスニードルがギガンテスの目にヒットし、ギガンテスが暴れだした。
蹴りや踏みつぶしなど、予測できない行動が襲ってくる。
集中だ!一発でももらえば致命傷になりかねない。
そして、極限まで集中したときにそれがおこった。
世界は色と音と速度を失っていく。

俺はアキレス腱に連撃を加え、白い腱をむき出しにする。
かがみこんだギガンテスの首にシルビアが切り付ける。

やがて、ギガンテスはどうっと前のめりに倒れ、動かなくなった。

「まだよ、まだ死んでないから気を付けて!」

任せて 『アイスランス!』
上空から何本もの槍が降り、ギガンテスを地面に縫い付けていく。

ギャオー!

シルビアの渾身の一撃がギガンテスの首を落とす。

「死んだふりか」

「あれでエースがやられたの」

「そうか……」

「よしよし、頑張ったね」

途中からシルビアにバフがかかっていたらしい。
そして俺にも。

「同時にバフがかけられるようになったのか」

「うん、できちゃった」
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