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第二章

米作り

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ウズラ、セキショクヤケイ、キジ、コジュケイ。
それらしい鳥は手当たり次第に捕まえていく。

知ってるか、キジを日本の国鳥に選んだのは美味しいからなんだぞ。
世界的に見ても、国鳥を食べる国は珍しいらしい。

「こうなってくると、醤油がほしいよな。
ご飯にタマゴをかけて……」

「じゃあ、トライしてみましょうか」

「できるのか?」

「大豆はありますので、お味噌を作っていけばお醤油もできるはずです」

「やった、さすがは料理大臣!」

「勝手に役職を作らないでくださいね」

「でも、お米もないわよ」

「あっ……」

そうだった、麦はあるのだがコメもなかった。

「お米……元々は、陸イネと言って細長いタイプのものが原種なんですよ。
探してみたら、見つかるかもしれませんよ。
これは、仁君にうってつけのお仕事ですね」

「ただ、走り回って探すのかよ……
それから種を蒔いて畑を作って収穫して……
気の遠くなる作業だな」

「お味噌もお醤油も気の遠くなる作業ですよ」

「よし、遠大なタマゴかけご飯作戦に挑戦するか」

「私はおにぎりがいいな……」

「へいへい、海苔作りも並行してやっていこうか」

「そうなると梅干しが欲しいな」

「梅の木とシソだな」

「ワラが手に入れば、納豆だって作れるわよ」

「やべえ、よだれが出てきた」

俺は国中を走り回った。
海苔は簡単だった。
梅っぽいのも見つかり、シソみたいなハーブも見つかった。
そして、ようやく……

「やったぞ、コメだ。
それも水稲だぞ!」

それからが大変だった。
川から水を引き、田圃を作らなくてはいけないのだ。
ともかく人を雇って土木作業を行い、発芽させた稲を植えていく。
田植えは重労働なのだ。

「こ、腰が……」

「ほらほら、おにぎりのためですよ」

だが、裸足で泥の中に入るのは楽しくもあった。
田んぼにはカルガモのような水鳥を放して雑草や虫を食べてもらう。
そして、収穫を迎える。
八十八夜だから、約3か月だ。

「じゃあ、俺の出番だな。
見ろ、足踏脱穀機だ」

「これって……」

「前に博物館で見たことがあるんだ。
それをマネして作ってみた」

「すげえよ恭介」

「それから、手動のもみすり機と精米機だ」

「そ、そんなに手間がかかるのか……」

「ああ、乾燥させたりするから、まだ半月程度は食えないな。
これだけの手間をかけるから、昔は一粒のコメも無駄にしないようにって教えられてたらしいんだ」

「納得だな……」

「その間に、納豆も作っちゃおうぜ」

「そう思って、大豆を炊いておいたわよ」
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