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第5章

コアとスフィ

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グアー!
目が覚め、四肢を失った事を理解したコアとスフィは激しく暴れた。
大丈夫だから!大丈夫だからと抱き着くカーリーの肩口に、コアが牙を立てた。
「ぐっ!」咄嗟に身体強化をかけたが、それでも牙が食い込む。

その姿を見ていたスフィの方が先に落ち着いた。
ヒト化して声に出す。

「やめろコア!カーリーだ!」

数分かけて、コアも落ち着きを取り戻しヒト化した。

「ご……ごめん……」

落ち着いた二人に、俺たちが救出してからの状況を説明する。

「レオは?」

「俺たちが駆け付けた時には、もう……」

「あの……クソ女は……」

スフィが絞り出すような声で聞いてきた。

「武器を持っていたハイエナなら、両腕を叩き切り、精神を破壊した。
生死は不明だ」

「今の状態を確認したい」

カーリーが二人にかけてあった肌掛けをめくる。

「二人とも同じ状態よ」

「「ぐっ……」」

「……なおるのか?」

「ご主人様と私が、つっききりで再生をかけています。
それでも1週間から10日は……」

「だが、追手が来るかもしれん……迷惑はかけたくない……」

ふいに割り込んだ声があった。

「ここを何処だと思っている。世界一安全な場所だぞ」

「あっ、院長!」 「クミ先生!」

「ところで……レオの子供か?」

「……はい」
スフィが短く肯定した。

「えっ?……」

「そうか。ならスフィは、子供を産んで、子供が一人立ちできるまでここにいろ。
レオのひ孫なら、私にとっては玄孫(やしゃご)みたいなもんだ」

「「えっ?……」」

「ん?知らんのか?初代レオとは、私が子供の頃から一緒だぞ。
まあ、皮だけだったけどな。あはは」

「えっと……笑っていい話なんですか……それ?」

「1000年前の話だ。笑うしかなかろう。
まあ、詳しい話は、暇な時にでもな。
今はこっちが先だ」

「何ですか、そのスライムみたいなのは?」

「お前たちが、自分でトイレに行けるようにするためのものだ。
元はそこのカーリーからのプレゼントだそうだ。
リンクはできるな」

一人2体リンクし二人の体を覆う。

「これはアメフラッシャーという不定形型のモンスターだ。
色や形状を好みで変えられるため、カーリーたちは寝具や衣類代わりに使えるんじゃないかとテイムしてきた」

「エサは何ですか?」

「安心しろ。人間ではない」
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