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第5章

重症

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ちなみに、今回の俺たちは全員が変装をしている。
頭まで覆う全身タイツで目も昆虫の複眼をイメージした保護カバーで覆われている。
戦隊ものの、敵方構成員みたいだ……

俺だけは、某宇宙戦争シリーズに出てくる暗黒大魔王をイメージしている。
あの、コー・ホーとかいう呼吸音で、黒づくめのキャラだ。ヘルメットもかぶっている。
……そういえば、さっき光の剣を手に入れたな……標準装備にしよう。

これらの衣装は、すべてスライム君でできている。

「ふん、アメフラッシャーだか何だか知らないが、モンスターのくせに大きく出たもんだ。
しかも、その痛々しい姿はなんだ!とても見ていられんぞ」

外装をすべてスライム君で覆っているため、神眼などで見られてもアメフラッシャーとしか表示されない。

「うっ、五月蠅い!
魔王ってイメージが咄嗟にこれしか浮かばなかったんだから、仕方ないだろう!」

「訳の分からん事をぬかすな。おとなしく投降すれば、苦しまずにあの世に送ってやる」

「タ……魔王様、急ぎませんと……あの3人が危険です」

「分かった。
急ぐため、もし一つでも攻撃を受けたら、半径30mを押しつぶす。
こんな風にな」

俺はわざとらしく右手を近くの建屋に向けて、重力魔法を放った。
5Gだ……だが、石積みの建造物は縦方向に強い……わずかに沈みこみ、傾いただけだった。
仕方なく、重力の方向を変え瓦解させた。

「押しつぶされていないぞ。
かまわん、殺してもいいから取り押さえろ!」

取り囲んだ兵士たちから、魔法や矢・槍が飛んでくる。
すべて結界ではじき、反撃しようとしたところでモアに止められた。

「いいから、帰りますよ」

仕方ないので結界を広げて敵を排除し、ガンマに乗り込む。

「ガンマ、治療院へ急いで!
母さんがいるといいんだけど……ディオネ……治療院ね。
母さんは……そう、急患3名。チャリンの残したオモチャで重症だって伝えて。
うん、30分で着くからよろしく」

「モア様、二人はなんとか息をしていますが、レオは……」

「そう……バックアップから……いえ、母さんの判断に任せましょう」

治療院に到着するとディオネとミマスが待機していた。
ミマスは病院付きのゴーレムだそうな。
ストレッチャー型ボードが3台用意してあり、ゴーレム達が手際よく運んでいく。

処置室には20代後半と思われる白衣の女性がいた。

「母さん……」

「そういうのは後。
白いのがレオの血筋で、ホワイトタイガーはスフィンクス、オレンジはマンティコアの末裔か……
3人とも、外傷はなし。
レオは側頭部右から左胸にかけて切られたね。
手遅れだ……
二人は四肢を切られているだけだね。
内臓の損傷はなし。
切られたところの上で四肢を切断。
早くしないと血液の循環が再開しないから、私が執刀する。
副院長、血止めと初期再生を頼む」

「「「はい」」」

処置は10分ほどで終わった。

「モア、その二人は魔力量が多そうだね」

「はい。猛が50000、カーリーはその半分くらいです」

「ほう。それは凄いな、再生は?」

「あまり明確なイメージは持っていないと思います」

「構わんよ。おい、ミマス、その二人に再生を教えてやってくれ。
うまく使えれば、1週間で退院も可能だから。
じゃあ、こっちは晩飯にしようか。
お前たちもまだ食べてないんだろう」

ニケも駆け付け、親子水入らずの食事が始まった。
俺とカーリーは魔力がゼロになるまで再生を続け、フラフラの状態で魔力と栄養満点の病院食を頂いたのでコア達と同じ病室で仮眠だ。
魔力が回復したら、また再生を繰り返す……
セミエビは当分無理そうだった。
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