上 下
103 / 141
第5章

大アマゾンホール

しおりを挟む
「じーっ……」

「なにそのおねだりポーズは……」

指を咥えたヒメは可愛かった。分かってはいたが、本人の口から言わせたい。

「お布団、取りに行きたいな~って」

「まさか、あれで寝たいの?」

「はい!」

「だって、あれアメフラシっていうよりも、イソギンチャク系だと思うよ。」

「マーメイドにとって、イソギンチャクなんて可愛いものですよ。ダメ……かな?」

ああ、そうか。視点が変わったから、ヒメは俺を見上げて話す。それが上目遣い……おねだり視線と感じるのか。
まあ、同級生視点からお兄ちゃん視点に変わった部分もありそうだが……

「触手だよ。普通ラノベだと女の子の天敵。
ヌルヌルでネチョネチョの触手が、下着の中に……」パシン!

「くだらない妄想を振りまくんじゃありません。さあ、先に進みますよ。
フトンの件は、ミヤイールに確認してからでいいでしょ」

「つー……、何それ……ムチ?」

「ええ、乗馬なんかで使うムチを、伸縮可能なツールにしてみました」

「武器……ではないよね。獣なんかの調教専用みたいだけど……なんのために?」

「もちろん、変態さんの調教……しつけ用ですよ」

「まさかと思うけど……俺専用ってこと?」

「ええ、理解が早くて助かります。
ところで、カーリーさん」

「は、はい」

「ジョブとスキルが増えたそうですね」

「ギクッ!」

「イシュタルが絶賛していたと、エウロパから聞きましたが、お披露目はしていただけないのですか?」

「えっ……その……人様にお見せできるようなものでもありませんので……」

「でしたら、スキルだけでも披露してほしいものですわ。
イシュタルによれば、まるで天国の雲に包まれたような、幸せな感じになれるそうですが……
忙しいサクラさんには、ぜひ体験してもらいたいとか」

「……あの、裏切り者……」

「えっ?」

「いえ……ジョブとセットでないと効果の出ないスキルなので……わかりました……帰ったら紹介させていただきます」

「うふふっ、楽しみですわ。
さて、今回は試験を兼ねて、超級の中でも唯一閉鎖されていない……というか、大きすぎで出来ないだけなんですけどね、アマゾン大ホールに扉を設置しました。
ここで、超級にどれくらい通用するか試してみてください」

扉には大アマゾンホールと書かれたプレートが付いている。

「いよいよ超級か!
えっと、付いてきたのはライム・コライムとファイたち10体、カゲリと収納にいるクモッチだな。
ヒメとモアはクモッチに乗って、カーリーが護衛。あとはフリーでやってみよう。
一人で無理だと思ったら、すぐに応援を呼ぶこと!」

「ユズとカリンもいるから、カーリーも行っていいわよ」

ユズとカリンは、ペルシャで回収した2体のゴーレムだ。
カーリーはオリハルコン製の出刃包丁を取りだし刃こぼれがないかチェックしている。

「いくぞ!」
しおりを挟む

処理中です...