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第四章 

ど〇でもドア……

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「ミャイさんの部屋はどうしようか?」

「あっ、私なら里に部屋がありますから大丈夫ですよ」

「……そうなんだ……」

「どうしたんですか?」

「いや……ちょっと……
ねえモア、ポーチの中に部屋を作る事ってできないのかな?」

「部屋ですか……可能ですけど、そんな所に引きこもりたいんですか?」

「いや、アニメでどこにでも行けるドアっていうのがあってさ、ポーチの原理を使えばできそうな気がしたんだけど……」

「はあ……何もない空間にいきなりドアを出現させるのは無理がありますけど、そうですね……対になる出入り口を作って、繋げるなら簡単ですよ」

「ご主人様、魔王城の構想ですね。
わかります。
各超迷宮の最深部に謎の扉。
その先に進むと10の扉があった。
4つは、各超迷宮の最深部に通じており、5つは罠のあるダミーで、魔王城に繋がるのは一つだけ。
うーんロマンですね」

「なんで、そんな不便なところに住まなくっちゃいけないんだよ!」

「正解の扉を開けると、そこはクリスタルでできた大ホール。
勇者一行の傷口から滴る血……
この城を、汚らわしい血で汚すとはな。
行けカーリー、その汚物を掃除するのだ!
はい、承知いたしました。ご主人様」

「なんで、いきなりカーリーの見せ場になるのさ」

「大丈夫です。
女魔法使いは、ハーレム要員として確保しますから。
ご覧ください、裂けたローブから覗く白い肌……」

ジュル……、まだ10歳だけど……

「タケルも、カーリーの妄想に乗せられるんじゃありません!
とは言え、難しい注文ですね。
数値データ化しただけの世界で……生息環境の追加……
やっぱり、別の領域を割り振ったほうが……
座標を固定するためには、この世界に対応した膜の……いいえ蜘蛛の巣のようなものでもいいわね……」

「モア、単なる思い付きだから、難しかったら……」

スコーンっと、木の枝が額に飛んできた。

「この私に対して、”難しかったらいいよ”ですか。
舐められたものですわね」

なんだかモアの目が怖い……

「モ……モア?」

「うふふっ、大丈夫ですよタケルさん。
集中するときのモアは、いつもこんな感じです。
思考の邪魔をしないようにしましょうね」

セレナがそんなことを言った。
家についても、モアはそのままで、セレナが研究施設に連れていくと言って連れ去った。
2日から3日くらいは帰らないかもしれないと言い残すセレナは、どこか嬉しそうですらあった。
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