3秒の強奪者 モンスターから奪ったスキルで魔王を倒す

第四章

お友達

「マグマグ！反発で反対側の壁に飛べ！」

「ダメ！間に合わない！」

「くそっ！全員、精神支配と麻痺であいつを止めてくれ！」

魔法の効果はなく、マグマグはそのでかい口に吸い込まれていった。
表示された名称は、スナクジラ。生命力と防御力が異様に高い。

「ユキ、ファイ達は凍らせてみてくれ。
ダメなら、あいつの口に、なるべく大きい氷をぶち込むんだ。
Ａ班、吸収だ！
ＢとＣは待機！
ライムとコライムは付いてきてくれ」

「どうするの！」

姫が心配して聞いてくる。

「マグマグを取り返す！」

「どうやって！」

「まず、足を止める。
そしたら、あいつを倒して腹を割くしかないだろう！
……えっ、害はない……のか？」

「どうしたの？」

「上のスター種の友達だって言ってる。
ちょっと、吸収は中止。
スター種が止めるって」

５匹のスター種が超高速移動でスナクジラに飛び乗り、少しするとスナクジラは止まった。
そして、ゆっくりとＵターンし、ことらに戻ってくる。

「ご主人様、確かに敵意は感じませんね」

「それにしても、大きいですわね。
体調１０ｍくらいですね。
一見、ほ乳類系なんですけど、迷宮型なんでしょうかね」

「目とか耳・鼻とか、感覚器官がありませんよね」

やがて、俺達の目の前で停止する。

ピンクが口の中に入っていき、マグマグを伴って出てくる。

「マグマグ、大丈夫だった？」

「うん、テイムした方がいいのか？」

「ご主人様、これをテイムするんですか……」

「ああ、そうか。
このスナクジラは、砂の掃除屋なんだってさ。
さっきみたいに、鉱石系やメタル系が間違って吸い込まれても、放出されるみたいだね。
スナジゴクみたいなモンスターは、中で分解されて魔力に還元されるんだって」

「タケルさん、こんな大きなモンスターをテイムしても、連れ歩く事は出来ないんじゃないでしょうか」

「もちろん、ここの守護者として残すよ。
こいつの出てきた穴の先があって、そこからもう一つ下の階層があるみたいなんだ。
そこがジャイントサンドワームって、凶悪なモンスターの巣になっているらしいよ。
そいつは、スナクジラが吸い込んでも腹を食い破って出てきてしまうらしい。
だから、吸収で弱らせる事ができたらスナクジラでも倒せるんじゃないかって言ってる」