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第四章 

アンテロープ

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翌朝、5時に出発し、7時にアンテロープに到着した……が、真っ暗だった。
ガンマの中で、急速に後方へ移動していく太陽を見ながら、時差というものに気が付いたが手遅れだった。
MRSとは、ほとんど時差がないため、完全に失念していた。
まあ、スター種が5匹いるので、まったく問題はない。

アッパー・アンテローブキャニオンは、地上にむき出しの巨大な砂岩を水と風が浸食した通り道で、光と影の織りなす光景に息を呑んだ。
やや赤みを帯びた黄色の岩肌に光が反射する事で、黄色・赤・紫が天然のグラデーションを醸し出している。

「ここには、モンスターが全然いませんね」

「そんな事ないよ。姫なら分かると思うよ。
もう少し意識を集中してごらん。
ナイトに同調すれば簡単だよ」

「えっ、スター種がいるんですか……
……あっ、かすかに……えっ!」

「ここは、スター種にとって聖地みたいな場所なのかもしれないね。
ファイ、ナイト、クリス達、徐々に暗くしてくれる」

目が慣れてくると、天頂の三日月に反射して、岩肌に点滅する光の点を確認できる。

「こんなにたくさん……」

「ファイ、ナイト、クリス達、一人ずつ友達を捜してきてくれるかな。
聞きたいこともあるし、できれば仲間になってほしいから」

「タケル、決心はついたんですか?」

「ここを守るために、魔王になる必要があるんなら……魔王になってみてもいいかな……なんてね」

「じゃあ、外に出たら入り口にこれを立てて宣言してください」

「なにこれ?」

「所有権の宣言です」

暗視を有効にして見ると、そのスタンドサインにはこう記されていた。
【タケル・モリビト・NJP 所有地  ・S&Y財団承認済 ・NJP教会承認済 ・CAL議会承認済】

「なに……この承認済みって……S&Yとか教会とかCAL議会とかは……」

「タケル様、魔王がそんな細かいことを気にしていたら笑われますよ」

「えっ、姫もそこに関わっているの?」

「ええ、夕べモアさんから打診がありました。クイーンを連名に入れるかどうかって」

「まさか……昨日の段階で、ここの状況が分かっていたってことなの?」

「それこそまさかですわ。
こんなにスター種が生息しているなんて思っていませんでした」

「じゃあ、なんでそんな確認……というか、承認を取ったの?」
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