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第四章
北アメリカ
しおりを挟む「建国当初はそれで良かったんです。
奴隷にされていたり、討伐の対象にされているモンスターがいましたから、保護する必要がありました。
でも、そういったものが落ち着いたら、本人の意思が優先されるべきだと思うんです。
つまり、MRSに行きたいと希望したら、基準に該当するか判定する。」
「そうだね。ライムやファイが該当するって言われたらどうしようかって考えてたよ。」
「ドラゴン種はもともと群れる種族ではありませんから、全員が断ったそうです。
そうしたら、ドラゴンは自分勝手だとか、驕っているとか言われて、相当な反感を買ったようです。」
「なんか、目に見えるようだね。」
「その時に、矢面に立ってくださったのが、先ほどの迷宮で眠っておられたミリー様です。
ご自分は人間とかかわりすぎたから、MRSの所属でかまわないが、ほかのドラゴン種は自由意志によると宣言され、現在もそれが有効です。
弱いものが、駆け込める場所があり、それを守るチカラを持った存在がいる。
理不尽なものに屈しない、多少強引であっても、弱い魔物を守る魔王様・・・素敵だと思いませんか?」
「オレは、そういう面倒なのは嫌いだな。
チカラをつけて、いつか超級に挑み、制圧してそこの頂点に君臨する。」
「チビクロは魔王向きだな。
よし、チビクロが魔王になったら、僕が討伐してあげよう。
是非、みんなの栄養になってくれ。」
「ちょっ……待って、……そうだ!ルールを決めよう。
精神支配と吸収はなし。殺しはダメ。降参したら終了。」
「それでもいいよ。
そのかわり、僕のコピーした超高速移動とか、耐冷、自動回復、状態異常無効なんかは消すからね。
全員で、超高速移動しながら、毒と麻痺と石化を試してみよう。
オリハルコンをどこまで回避できるかも楽しみだね。
ねえユキちゃん、ドラゴンってどこから尻尾?切っても生えてくるの?」
「トカゲじゃないんですから、そんな能力はないですよ。
やっぱり、魔王の発想ですよね。」
「主……ごめんなさい……調子に乗ってました……」
「モア、北アメリカの迷宮とかはどうなの?」
「グランドキャニオンに超級がありますね。
アンテロープキャニオンとモニュメントバレーに上級。
なので、カリフォルニアからは敬遠されています。」
「そこを抑えたいな。
特にアンテロープは必須だね。
ここからだと、どれくらいかかるの?」
「片道2時間は必要ですね。」
「うーん、朝早く出れば、向こうで10時間くらい使えるか……
よし、明日行くよ。」
「タケル様?何ですのアンテロープとは?」
「岩が水による浸食でできた峡谷。
この時期はたぶん無理だけど、太陽が差し込む季節は、すんごい美しいって聞いた。」
「やっぱり、私、明日も同行します。」
「この時期は、あんまり期待できないって。」
「5時出発ですね。
暑い場所ですから、氷系の人達はお留守番ですね。
カーリーさん、食事は今日の内に多めのお弁当にして、ワンボックスの中で食べましょう。
モアさん、ワンボックスには正式な名前はないんですか?」
「ガンマよ。正式にはガンマ43。」
「ガンマですね。分かりました。
それから、ニケさんがポーチを用意してもらえって言っているんですが、何ですか?」
「ええ、収納空間の事です。用意してありますよ。
タケルと二人で共有の空間を使って貰いますから、下着とか入れないようにしてくださいね。」
「大丈夫ですよ。そんな興奮してもらえるような下着はまだ持っていませんから。
量は、どれくらい入るんですか?」
「星が一つ入るくらいですかね。」
こうして、日曜のスケジュールが決まった。
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