3秒の強奪者 モンスターから奪ったスキルで魔王を倒す

第四章

聖魔王

「魔王というのは、魔物達の王様というだけで、決して悪いことをしろっていう意味じゃないんですよ。」

「えっ？」

「悪い……人に害を及ぼすモンスターは、今日みたいに討伐するんです。
ヨーコの迷宮みたいに、暮らせる場所……できれば、国を作ってタケルさんが王様……魔王になるんです。
私は、モンスタークイーンですから、当然魔王様の妻になります。」

「……そんな考え方もあるんだ……」

「主、もし、そんな事を望む事ができるなら……私も……」

「ライムお前も……当然か。
うーん、魔王か……少し考えさせてほしい。」

「ご主人様、魔王って考えるから悩むんでしょ。
だったら、聖魔王とでも名乗ればいいんですよ。」

「タケル、今なら南北のアメリカ大陸に広大な土地が開いていますよ。
北アメリカのフロリダを拠点として、東半分を国として宣言すれば大丈夫です。
なんなら、マリアが後ろ盾になってやろうと言っていますよ。」

「前から気になっていたんだけど、マリアって何なの？」

「マリアは、千年前に１万人の女性たちが作り上げた一つの疑似人格で、マリアの意思は、女性の総意に等しいと考えられています。」

「なんで、そんな人が僕のフォローをしてくれるの？」

「主よ。この世界は、人の住む場所、精霊の住む場所、動物の住む場所が定められている。
だが、我々モンスターはどうすれば良いのだろうか。
多くの者は、人とコミュニケーションをとることもできず、一方的に迫害を受けてきた。
氷華やユキウサギが良い例だ。
最近になって、我やスター種といった、多少チカラのある存在が生まれてきた。
そして主が、我らにチカラを与えてくれた。
今ならば、同じ意向を持ったモンスターの助けになってやれる。
だが、我らは主の意向を最優先する。」

「そうだな……僕も、今ライムとコライムに抜けられるのは嫌だから……」

「タケルさん、私たちドラゴンの意見を申し上げてもよろしいでしょうか？」

「ユキちゃん、ぜひ聞かせて」

「私たちドラゴンの一族は、ＭＲＳの基準からすれば精霊に該当します」

「うん、僕もなんでＭＲＳじゃないのか不思議に思った」

「ＭＲＳは、先に集団ができあがり、それから国を立ち上げました。
集団の中で、精霊の範囲を定め、お前たちもその基準に該当するから国に登録しろ。
これが彼らのやり方でした」

「うん、そうだね。
ライムやスター種が該当するか、判定するって言ってた」