3秒の強奪者 モンスターから奪ったスキルで魔王を倒す

第四章

ユキウサギ

「俺は魔王を倒す勇者になるんだ！そうだろモア」

何その不安そうな返事は。

ドラゴン２体に精神操作をコピーし、次の迷宮に向かう。
今回最大の迷宮で、地下１２階まで確認されており、ユキが追い出された迷宮でもある。

最下層にボス！ワクワクしてきた。
ユキによれば、白くて大きくて柔らかいモンスターで、ユキのブレスが効かないそうだ。
触手みたいなもので、鍾乳石を切り取って、こん棒のように振り回すらしい。
うーん、イメージがわかない……
だが、この辺りに魔王城を建てれば、部下の補充は楽かもしれない。

樹海の迷宮２は、大噴火により溶岩が流れ出した名残といってよい。
途中までは数か所梯子がかけてあったりするが、坑道ではないので足場は悪い。
姫とモアはメタルスパイダーに乗っていくことになった。

地下１２階と言っても、単に下っていく部分が１２か所あるだけで、ほぼ垂直に降りる部分もある。
地表近くは、何本かの分岐があるものの、ここを根城にしていたユキがいるので迷うことはない。
メタルスパイダーは、垂直に下るときもお尻を持ち上げ背中を水平に保っている。
なんか感動的だった……

どちらかといえば、氷系・水系・鉱石系のモンスターが多いものの、意外と無害なのだ。

鍾乳石の先っぽに取り付いて何十年もかけて全体を吸収していくサキッチョ。
無害ではあるのだが、ここでないと生息できないらしい。

白くて、１０ｃｍほどの毛玉が飛び跳ねている。
ユキウサギだ。
姫のリクエストで一匹スリープで捕獲し、血を舐めさせてテイムする。
防御力も攻撃力も低く、生息数が少ない。
食事も野菜なので、入り口付近にしかいないのだが、温かい場所でも生息可能。
真っ白で真ん丸なボディーに、トビネズミのような足と長い尻尾。真っ赤な目に小さな手と口。

モアによると、ペットブームがあったらしく、その時期に乱獲されたため数が少ない。
俊敏ではないが、風に乗ると数メートルジャンプ可能で、放し飼いにできない割に、運動不足でストレスがたまり、死んでしまう。
普通のテイムができず、結果として人里では見なくなってしまった。

姫の目がウルウルしてる。

「ヨーコの迷宮で飼いましょう！」

決定事項だった。
ファイもナイトも問題ないとみている。

テイムした一匹に、仲間を呼んでもらう。
ポーン、ピーン、ポーン、ポピーン
ピアノの高音のような声だ。耳に心地いい。
モアがスリープとプリーズで凍らせ、収納にしまう。
もう３匹テイムして姫とモアのポケットに収める。

もちろん、仲間セットはコピーしてある。

これで１６匹。