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第三章 MRS

暴力女と淫乱女

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「それで、スフィ君の爪はどうなんだ」

「まだ使っていませんが、風と氷系の補助効果が付与されています」

「ねえ……、それって、物語に出てくる精霊の加護ってやつじゃないの?」

「ルビー種が、炎の加護で他の種も、何かしら属性があったりして……あはは」

「それが人間との共存を望んでいて、自分たちに理解を示してくれれば……加護を与えてくれる。
それって、やっぱり一般的なイメージの精霊よね」

「それは、追跡調査の中で確認していこう。
モアから提案のあった、鉱石採取も準備しておかないと」

「ストレートに、ダイヤ・サファイア・ルビーだと、産地は分かるの?」

「ルビーは、スリランカ・タイ・ビルマね。サファイアもだいたい同じ。
エメラルドは中南米で、ダイヤはインド・ブラジル・アフリカね」

「世界中に探索の手を広げる必要がありそうね。
ところでさ、スフィ。笑っちゃうことにタケルはクイーン候補の思い人ってどういう事なの?」

「えっ、レオ……今頃突っ込んでも遅いよ。
緊張した場の空気を和ませようとしたんだろうけど、あのタイミングじゃあ笑えないって」

「えっ、コア……そうじゃなくて、本当にエンギョージ家のヒメちゃんとシーウッド家のノアちゃんがプロポーズしてるんだって」

「いや、それは別に笑う話じゃないでしょ」

「どんだけVIPなんだよ!って審議会長が突っ込むところでしょ」

「はあ、あんたのセンスには付いていけないけど、確かに超VIPよね。
モアとクミとレイミの直系である姓を持って、ニケとカズキの直系を嫁にする可能性のある男ですか。
これは議会へも報告しておく必要がありますね」

「それで、コアは食事のあとで迷宮の案内なんだろう」

「仕方ないでしょ、部長が迷宮に入る許可出しちゃったんだから」

「モアさんが、あんなにうまく話を誘導してくれたんだから、あの程度の要望に応えない訳にはいくまい。
2年間の継続監視と、君たち3人の専任なんて、議会を通すのにどれだけかかるか想像も出来ないからな。
内務局としても、新教会長の周りは一番情報のほしい場所だろう。あそこに誰か常駐させようと考えるはずだよ。
カーリーかハヌマーン・イシュタルあたりかな」

「ちょっと待ってください。子供たちがいるんですから、暴力女と淫乱女はまずいですよ」

「誰が暴力女なのかな?」「色情狂とは心外ですわ!」

「「「お前らだ!」」」

外見的には、コア・スフィと同じように黒いパンツスーツの女性が立っていた。

「局長から、迷宮の案内をするように言われてきた」

「同行するのは一人だけだ。
コアを同行させる事で了解はとってある。不要だから帰れ」

「そういう訳にもいかないのよね。
10才の子供に探索の許可を出した以上、何かあったら国際問題になるから。
能力値800程度の子供じゃあ、10分あれば骨も残らないわよ」

「あんのタヌキオヤジが……
相手はマリアだ、どうなっても責任は持てないぞ」

「大丈夫よ。自己責任だから」
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