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第二章 養成所

正体判明

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「アルミ・スライムは既知だな。ジュラルミン・スライムもありかな。
そういえば、一時期マグネット・スライムって話題になったよな」

「ああ、鉄製の武具にくっついて離れないやつだろ。
二人パーティーが背中合わせでくっついて、身動きとれなくなったって笑い話聞いたわ」

「あれは作り話でしょ。
それよりも、6文字だとオリハルコンはありそうよね」

「じゃあ、スキルの5文字は超振動切断かよ」

「でも、それなら攻撃力の高さは頷けるわね」

「まって、ヴィブロブレード、振動剣のことなんだけど、8文字よ」

「ちょっと待って・・・私の立場はどうなるの?
一晩かかって考えたのよ!」

「お姉ちゃん……今更だと思うんだけど……」

「いいこと、5文字は超高速移動で、4文字が金属吸収よ。
もしくは逆もあるわ。
金属類吸収と高速移動ね」

「ああ、吸収系スキルはあり得ますね」

「わ……私の一晩は、数分で解明されるレベルなの……」

パチパチパチ、モアの拍手がスフィを我に戻す。

「ど、どうなのモア」

「あっ、スフィさん、ステータス画面の内容が更新されていますよ」

「こんな短時間で正解にたどり着くとは思いませんでしたわ。
お見事です」

「それよりも、こんなレア金属がモンスター化するなんて、信じられませんよ」

「しかも、世界で初めて見つかった種類を、討伐じゃなくテイムだろ、考えられないって」

「「それでこそ、私たちの旦那様ですわ」」

「それよりも、本当の姿を見たいんだが」

「ライム、元の姿に戻って」

ライムがスライム形態に変化する。

「振動剣ってどんな感じなの?」

スフィさんの持っていたワッフルと、教材用の鉄板をカットして見せる。

「それで、そっちのは……まさか……」

「スターサファイアのファイだよ」

「それもテイムしたのか?」

「うん」

「旦那様、これは寝室用の照明で決まりですぅ」

「いや、寝室にこんなの必要ないから」

「では、臨時講師もこれで開放しますわ。
じゃあ、タケルは私と一緒にMRSに行きますわよ」

「えっ、MRSに行けるんですか?」

「ええ、参考人として少しお話ししてくるだけですねど」

「「「お願いします」」」

「いえ、私に言われても無理ですよ」

「「「スフィさん、お願いします」」」

「無理だな」

「それに、あんなところに行っても、面白いことはありませんよ。
禁欲中の修行僧みたいな人たちばかりですから」

「モア、そんな安い挑発にのるほど単純ではないぞ」

「挑発っていうか、お姉ちゃんがいつも言っているセリフですよ。
みんな、あんなところ、行くだけ無駄ですよ」

「だが、行ってみないと、どんなところなのか分からないじゃないか」

「まあまあ、クイーン候補もおられるので、お連れするだけなら構いませんけど、宿泊場所から出る事はできませんよ」

「レオ、そんな勝手なことしてもいいの?」

「丁度明日、教会長の訪問があるんだ。
だからクイーン候補も同席できないかって、打診が来ているはずだけど」

「ええ、確かに所長あてに要請はありました。
ご両親とも相談して、時期早尚だろうとお断りしています」

「再考してもらえませんか。
本人が行きたがっているんですから」

「私は、旦那様の同行でしたら喜んで!」

各自の自宅から了解を得て、急遽社会見学が決定した。
14時出発となる。

ただし、どんなトラブルに巻き込まれても、養成所は関知せず、自己責任だという誓約書を提出した。



【オリハルコン・スライム】

愛称:ライム
種族:メタル・スライム
生命力:510
魔力:928
知力:728
素早さ:1626
攻撃力:425
防御力:1201
スキル:<変身><金属吸収><ヴィブロブレード><超高速移動>


タケルにとって、記念すべきテイム1号であり、頼りになる相棒であった。

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