3秒の強奪者 モンスターから奪ったスキルで魔王を倒す

第二章 養成所

Will you marry me?

「なに、モアどういう事だ」

「ＭＲＳは決断が遅いのよ。
事情聴取に２か月。上申に１か月。方向性の検討に２か月。原案の作成に１か月。承認に２か月。準備に３か月。
これが最低ラインね。多分、どこかに現地調査が３か月から半年。実際に行動するまでに１年はかかりまわよ。
その間、ここは閉鎖されたまま放置。
適度な討伐があったから、スターさん達が生息しやすい環境になったんです。
それを１年も放置したら、どうなるか分かりますよね」

キュイ

「ファイも同じ意見です。
モンスターが増えれば土地が荒らされる。
かと言って、スター種は防御力は高いものの、攻撃力がほとんどない。
だから共存の道を見つけたいって言ってます」

「ぐ、その通りだ。
我々にできる事は……ないというのか……」

「確かに、財団なら、このコーティングを資金源にして、あっという間に環境を整えそうね。
さっきのキラキラは、ショーにすればヒットするわよ。
真っ暗な壁面なんかを使って、それこそ七色の光で演出するんでしょ。
癒しっていうよりも、デートスポットよね。
オープンカフェにして、ワインかなんか出してさ。
テーブルのキャンドルだけにして、スターが闇の中で星みたいに瞬くの。
で、男性の合図で、メッセージになるのよ。
I want to be with you forever and ever.
Will you marry me?
同時に片膝をついて、結婚指輪を差し出すのよ……
ＭＲＳでそんなのできるわけないでしょ。
レオ、私の幸せを奪わないで！」

「コア、落ち着け。
爪が痛いよ」

「あっ……」

「君らしくないな……
ほかの人も、一旦落ち着きましょうね。
ＭＲＳは、そこまで横暴じゃないですから」

「あっ……
だけどよ、途中の迷宮で吊り橋効果を持たせてやれば、そういうのもアリだぞ」

「結婚指輪がスターサファイアってのもいいかも……」

キュッ

「それくらいなら作れるってさ。」

「ちょっと、先走らないで、話を戻そうよ。
精霊の可能性はどうする？」

「今の時点で、私たちよりも、よっぽど精霊っぽいけどね」

「魔力の付与、意思の疎通、人間との共存か……
モア、現地調査には協力してくれるの？」

「そうですね、基本はギブ＆テイクでいかがでしょうか」

「何をすればいいんだ？」

「鉱石の確保などはお願いしたいですわね。
有償でかまわいませんから」

「精霊の働き口確保もできるし、こちらとしては願ってもないことだ」

「あとは、冒険者に代わってモンスター討伐ですね」

「お安い御用だ」

「ちょっと待った。
もし可能なら、そこは俺たちも混ぜてくれないかな」