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第二章 養成所

ギア・セカンド……

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「そうね。教師と教え子ってシチュエーションは悪くないわね。
えっ、日曜は私が対応するから……サカイは不要……って、マリアが言ってるわ」

ガクッと項垂れたのがサカイ君なんだろう。
いや、オネエ系じゃない。どう見ても、マッチョ系だぞ……

「じゃあ学校以外ではそういう事で決まりですね。
授業に戻りましょう。
みんな、もう教室ではネコかぶらなくていいですからね。
人為的に作られたB2のモンスターは、最初にテイムで捕獲状態にしますね。
次のステップで専用のサーバーにリンクさせます。ここで、言葉を覚えたり魔法を覚えたりします。
このステップで活躍するのがチューニング能力で、調教師や調律師のジョブクラスを持った人たちです。
このモンスター化とテイムからチューニングまでの工程を体系づけたのが、マーメイドクイーンのニケ様です。
ニケ様は、モンスター化からチューニングまでを10分程度で終わらせました。
精霊たちからも、絶大な信頼を得ており、モンスタークイーンとも呼ばれています」

「そのモンスタークイーンに一番近いのがマーメイド族のヒメで、ヒメをクイーンにする事も俺たちの役目だ」

「えっ?」

「ノー君はヒメちゃんのサポートが主な役目だもんね」

「いや、男に興味はないよ。それよりも、姫ちゃんは……マーメイドなのか?」

「はい」

隣で返事をする姫ちゃん。俺の視線は下半身へ向かう。
頭めがけて飛んできた紙の弾丸を、俺は左手の二本の指でつかみ取った。
予測できていれば、この程度は対応できる。

だが、それ以上の速度で第二射が飛来した。
そして、やや遅れたレイピアの刃先……
のけぞる形でかわしたが、姫ちゃんを巻き込んでしまった。
あわてて右手を引き抜き、姫ちゃんの腰に回して抱き寄せる。
翻るスカートは、左手で両足ごと包み込む。いわゆるお姫様だっこの形だ。
姫ちゃんの足は、人間の足だった。
レイピアは、左足で本体ごと後方へいなす。

すごい。称賛に値するぞ。姫も、飛んで行ったノー君も声を出さない。
ガキン!ドガッ!というのは、レイピアを手甲ではじいた音で、ドガッの方はカウンターとなった前蹴りがノー君の顔面にヒットした音だ。
ちなみに、俺の後ろに座っていたのは、サカイ君である。

「やりますね。初見でセカンドギアの紙弾をかわすとは。
しかも、目的であるヒメちゃんの足も確保済み。
でも、サードギアは優しくないですからね」

「なに、そのアニメみたいな設定は。
まさか、ビヨーンとかいって腕が伸びたりしませんよね」
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