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第二章
第18話 セリカさん空を飛ぶ
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道具屋のおじさんから注文品が届いたのは3日後でした。
「すまんな。折り畳みとかの工夫が難しくて3日もかかっちまった。」
「いえ、無理いってすみませんでした。」
「いやいや、このテクは役立ちそうだからな、今後のためにもとことん突き詰めてみたんだよ。」
おじさんのいう通り、広げるとカチッとロックされて安心感があります。
「これならおけます。5台追加でお願いします。」
私は魔法陣のところに昨日作っておいた木片を貼り付けます。
家の中庭に出て、魔法陣を起動するといつものように魔法陣が展開されたあとで底面から風が噴き出して、キックボードがふわりと浮かび上がります。
「うんうん、いい感じ。でも、前に進む力が足りないな……。」
魔法陣をキャンセルして工房に戻ります。
「うーん、全体的なバランスも悪いし、魔法陣って3重円じゃダメ……かな?」
別の木片を取り出して、3重の円を書き、中心に”飛行”と書きます。
2番目の円には、下面と後部から風を噴出して浮かび上がりながら前進し、ハンドル操作で上下左右に進むことを記述。
そして外側の円には、進行速度と安全対策を書きました。
これを仮付けして、再び中庭へ。
魔法陣に魔力を流すと、自転車くらいの勢いで飛び始めます。
「うっひゃー!」
運動神経はよくない私ですが、自転車くらいは乗れます。
調子に乗った私は敷地の外へ。
「お嬢さま!」
セリカさんが家から飛び出してきました。
「ヤッホー!」
「危ないです!」
仕方なく、いったんセリカさんの前に降りました。
「何ですか、これは!」
「えっ、空を飛ぶ魔道具だよ。」
「えっ?」
「あはは、新しく開発したものだから驚くよね。」
「そんなもの、聞いたことがありません。」
「そうだよね。いきなり見たら驚くよね。」
「はい……。」
「そうだ!セリカさん、これに乗ってみてくれないですか。一般の人の意見も聞きたいし。」
「はあ、私でよろしいのでしたら……。」
セリカさんに簡単な操作方法を説明して試乗してもらいます。
「こ、これは……。」
セリカさんは大きな声をあげた。
「気持ちいいです!」
セリカさんは敷地内を3周まわって私の前に降りてきました。
「空を飛ぶなんて、こんなの初めてですわ。」
「操作性はどうですか?」
「そうですね、慣れないうちは木に突っ込みそうになりましたけど、大丈夫だと思います。」
「一応、衝突防止の安全対策は考えてありますから大丈夫ですよ。」
「ですが、本当にお嬢さまがこれを作られたんですか?」
「うん。一応マギ・デザイナーですからね。」
「最初に聞いてはおりましたが、まさかここまでの方とは思いませんでした。」
いままでは、全員年に金貨3枚の契約だったそうだけど、年に金貨5枚で契約してもらいました。
セリカさんにはチーフ手当として金貨1枚を加算してあります。
そして、私のことはお嬢さまと呼ぶことになったらしいです。
正式な雇い主はあくまでプロフェッサーなので、ちょうどいいのかもしれません。
工房に戻った私は、微調整を施しながら例のペンを使って魔法陣を書いていきます。
さっきのは時速10キロで書いてあったのですが、変動板の方は0からスタートして、5・10・20・30・50・80・120までの数を書いていきます。
キックボードの前面には物理シールドを展開しているのだけど、時速50キロ以上では空気も通さないように追加しました。
完成品ができた私は、早速魔道具ギルドを訪れ、リンを呼び出します。
「なぁに?私はシャキの専属じゃないんだからね!」
「えへへっ、そんなことを言っていいのかな。王都へ持って行ってもいいんだけどな。」
飛んで見せた直後、リンは慌ててギルマスを呼びに行くのでした。
【あとがき】
飛ぶキックボード完成です。
「すまんな。折り畳みとかの工夫が難しくて3日もかかっちまった。」
「いえ、無理いってすみませんでした。」
「いやいや、このテクは役立ちそうだからな、今後のためにもとことん突き詰めてみたんだよ。」
おじさんのいう通り、広げるとカチッとロックされて安心感があります。
「これならおけます。5台追加でお願いします。」
私は魔法陣のところに昨日作っておいた木片を貼り付けます。
家の中庭に出て、魔法陣を起動するといつものように魔法陣が展開されたあとで底面から風が噴き出して、キックボードがふわりと浮かび上がります。
「うんうん、いい感じ。でも、前に進む力が足りないな……。」
魔法陣をキャンセルして工房に戻ります。
「うーん、全体的なバランスも悪いし、魔法陣って3重円じゃダメ……かな?」
別の木片を取り出して、3重の円を書き、中心に”飛行”と書きます。
2番目の円には、下面と後部から風を噴出して浮かび上がりながら前進し、ハンドル操作で上下左右に進むことを記述。
そして外側の円には、進行速度と安全対策を書きました。
これを仮付けして、再び中庭へ。
魔法陣に魔力を流すと、自転車くらいの勢いで飛び始めます。
「うっひゃー!」
運動神経はよくない私ですが、自転車くらいは乗れます。
調子に乗った私は敷地の外へ。
「お嬢さま!」
セリカさんが家から飛び出してきました。
「ヤッホー!」
「危ないです!」
仕方なく、いったんセリカさんの前に降りました。
「何ですか、これは!」
「えっ、空を飛ぶ魔道具だよ。」
「えっ?」
「あはは、新しく開発したものだから驚くよね。」
「そんなもの、聞いたことがありません。」
「そうだよね。いきなり見たら驚くよね。」
「はい……。」
「そうだ!セリカさん、これに乗ってみてくれないですか。一般の人の意見も聞きたいし。」
「はあ、私でよろしいのでしたら……。」
セリカさんに簡単な操作方法を説明して試乗してもらいます。
「こ、これは……。」
セリカさんは大きな声をあげた。
「気持ちいいです!」
セリカさんは敷地内を3周まわって私の前に降りてきました。
「空を飛ぶなんて、こんなの初めてですわ。」
「操作性はどうですか?」
「そうですね、慣れないうちは木に突っ込みそうになりましたけど、大丈夫だと思います。」
「一応、衝突防止の安全対策は考えてありますから大丈夫ですよ。」
「ですが、本当にお嬢さまがこれを作られたんですか?」
「うん。一応マギ・デザイナーですからね。」
「最初に聞いてはおりましたが、まさかここまでの方とは思いませんでした。」
いままでは、全員年に金貨3枚の契約だったそうだけど、年に金貨5枚で契約してもらいました。
セリカさんにはチーフ手当として金貨1枚を加算してあります。
そして、私のことはお嬢さまと呼ぶことになったらしいです。
正式な雇い主はあくまでプロフェッサーなので、ちょうどいいのかもしれません。
工房に戻った私は、微調整を施しながら例のペンを使って魔法陣を書いていきます。
さっきのは時速10キロで書いてあったのですが、変動板の方は0からスタートして、5・10・20・30・50・80・120までの数を書いていきます。
キックボードの前面には物理シールドを展開しているのだけど、時速50キロ以上では空気も通さないように追加しました。
完成品ができた私は、早速魔道具ギルドを訪れ、リンを呼び出します。
「なぁに?私はシャキの専属じゃないんだからね!」
「えへへっ、そんなことを言っていいのかな。王都へ持って行ってもいいんだけどな。」
飛んで見せた直後、リンは慌ててギルマスを呼びに行くのでした。
【あとがき】
飛ぶキックボード完成です。
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