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第一章
第12話 P
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「それでだ、Sランクの認定は王都で行われるため、このギルドでは申請手続きだけになる。」
「はい。」
「当面はAランクの刻印を使ってもらう。」
「はい。」
私はギルドマスターから”A”という文字の入った刻印を受けとりました。
「ゲンさん、今出ているSランクのステータスシンボルは?」
「”O”までですな。」
「じゃあ、申請は”P”だな。愛称はどうする?」
「愛称?」
「Sランクのマギ・デザイナーはステータスシンボルに因んだ愛称で呼ばれるんじゃよ。そうすることで、本人が死んでも弟子がただしく技量を受け継いでいれば継承できる仕組みなのじゃ。」
「ということはPから始まる愛称ですか……。」
「例えばな、Aのステータスシンボルを持ったマギ・デザイナーは、アトミックボムと名乗っている。爆発系の好きな奴だな。」
「Pかぁ、私ならパパイヤとかピーチがいいかな。」
「リンは食いモンしか頭にないからな。」
「P……プロフェッサーなんてどうですかね。まさか、こんなに可愛いお嬢さんだとは思われないでしょうし。」
「えっ、課長にしてはいいせん行ってるじゃないですか。」
「わ、私なんかが”教授”を名乗るなんて、おそれ多いですよ。」
「いや、使われている文字も俺たちの知らない文字だし、いいんじゃないか。」
「そ、そうですか……。」
こうして、私の通り名はプロフェッサーで申請することになってしまいました。
Pの刻印は、申請が認められれば、国王陛下から下賜されるそうです。
さっき渡されたランクの刻印よりも立派な刻印だそうです。
「それからな。この申請が通れば、国王軍から大量の発注があるだろう。」
「当然ですな。自動小銃と胸当てが300セットと、エリアシールドが50ってところですか。」
「ふぇっ、そんなに……ですか?」
「しばらくは冒険者活動は休んでもらって、魔道具の作成をしてもらうことになるな。」
「は……い。」
「じゃあ、ミスリルの胸当てを50発注するから、それに魔法円を刻んでもらえるかのう。」
「えっ、まだ認定されていないのに……ですか?」
「ああ、発注がこなくても、それくらいならギルド内で捌けるからな。」
「自動小銃とエリアシールドは仕様を考えるから、近いうちに職人と相談に伺いますね。」
課長さんにもそういわれ、私はあらためてマギ・デザイナーになったことを実感するのでした。
数日後、王都から陛下の決済がおりたと通知が来たそうです。
「認定式には俺も同行する。余裕を見て明日の朝には出発するから準備しておいてくれ。」
「リ、リンさんは?」
「あいつは、魔道具の説明があったから、もう王都で待機してるよ。」
「準備っていっても、何が必要なんですか?」
「着るもんとか下着の替えとか必要なんだろう。リンなんか大荷物だったぞ。」
「着る物って……、ああ制服があった。お葬式とかも制服で大丈夫だったから恥ずかしくないよね。うん。」
制服は洗ってあったけど、皴になっていたので、私はすぐに道具屋さんに走って鉄板に持ち手を付けてもらい、魔方陣を刻んでアイロンにした。
向こうで使い終わったら、道具屋に売ってくればいい。
あとは……何が必要なんだろう。
【あとがき】
次回、王都編です。
「はい。」
「当面はAランクの刻印を使ってもらう。」
「はい。」
私はギルドマスターから”A”という文字の入った刻印を受けとりました。
「ゲンさん、今出ているSランクのステータスシンボルは?」
「”O”までですな。」
「じゃあ、申請は”P”だな。愛称はどうする?」
「愛称?」
「Sランクのマギ・デザイナーはステータスシンボルに因んだ愛称で呼ばれるんじゃよ。そうすることで、本人が死んでも弟子がただしく技量を受け継いでいれば継承できる仕組みなのじゃ。」
「ということはPから始まる愛称ですか……。」
「例えばな、Aのステータスシンボルを持ったマギ・デザイナーは、アトミックボムと名乗っている。爆発系の好きな奴だな。」
「Pかぁ、私ならパパイヤとかピーチがいいかな。」
「リンは食いモンしか頭にないからな。」
「P……プロフェッサーなんてどうですかね。まさか、こんなに可愛いお嬢さんだとは思われないでしょうし。」
「えっ、課長にしてはいいせん行ってるじゃないですか。」
「わ、私なんかが”教授”を名乗るなんて、おそれ多いですよ。」
「いや、使われている文字も俺たちの知らない文字だし、いいんじゃないか。」
「そ、そうですか……。」
こうして、私の通り名はプロフェッサーで申請することになってしまいました。
Pの刻印は、申請が認められれば、国王陛下から下賜されるそうです。
さっき渡されたランクの刻印よりも立派な刻印だそうです。
「それからな。この申請が通れば、国王軍から大量の発注があるだろう。」
「当然ですな。自動小銃と胸当てが300セットと、エリアシールドが50ってところですか。」
「ふぇっ、そんなに……ですか?」
「しばらくは冒険者活動は休んでもらって、魔道具の作成をしてもらうことになるな。」
「は……い。」
「じゃあ、ミスリルの胸当てを50発注するから、それに魔法円を刻んでもらえるかのう。」
「えっ、まだ認定されていないのに……ですか?」
「ああ、発注がこなくても、それくらいならギルド内で捌けるからな。」
「自動小銃とエリアシールドは仕様を考えるから、近いうちに職人と相談に伺いますね。」
課長さんにもそういわれ、私はあらためてマギ・デザイナーになったことを実感するのでした。
数日後、王都から陛下の決済がおりたと通知が来たそうです。
「認定式には俺も同行する。余裕を見て明日の朝には出発するから準備しておいてくれ。」
「リ、リンさんは?」
「あいつは、魔道具の説明があったから、もう王都で待機してるよ。」
「準備っていっても、何が必要なんですか?」
「着るもんとか下着の替えとか必要なんだろう。リンなんか大荷物だったぞ。」
「着る物って……、ああ制服があった。お葬式とかも制服で大丈夫だったから恥ずかしくないよね。うん。」
制服は洗ってあったけど、皴になっていたので、私はすぐに道具屋さんに走って鉄板に持ち手を付けてもらい、魔方陣を刻んでアイロンにした。
向こうで使い終わったら、道具屋に売ってくればいい。
あとは……何が必要なんだろう。
【あとがき】
次回、王都編です。
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