104 / 125
第8章 天界編
地獄の97丁目 驚きの天界②
しおりを挟む雨だ。赤い雨以来の透明な雨。
神のお恵みなんて呼ばれるが、そうとは思わない。寧ろ、神がいるならこんな人は死なないだろう。神がいるなら、俺の大事な家族を
返してくれ。今すぐ、お願いだ。
そんなことを思っていても雨は止まずに
ずっと撃ち続ける。気持ちいいぐらいだ。
今日は骸を埋葬するのは辞めにしよう。
こうも泥濘(ぬかる)むと、萎えてしまう。
しかしその泥濘の中で、まだ息をしてる
骸になりかけてる人が抗っていた。
視界が見えづらく、どんな人か判断するまでに時間が掛かっていた。しかし目が慣れてきて、その人物が分かって来た。
米兵だった。
恐らく1人の時を狙ってリンチしたのだろう。
しかし死にきれなかったのだろう、青い目をした人間。このまましてたらそのうち死ぬだろう。放っておけばいい、そう思った時。
「キリング ミー…。」
そう聞こえた。意味がわからないが
首元を掻っ切るかのような
仕草をした。そうか、殺して欲しいのか。
ちょうど良かった、憂さ晴らしをしたかった所だ。お望み通り殺してやろう。
持っていたスコップを首元へ突き刺した。
血を口から零し、息絶えた。
目をひん剥いたまま、少しぴくぴくした後
しっかりと骸になった。
俺は何を思ったか
今自分が殺めた骸になった米兵を
埋葬することにした。証拠隠滅かもしれない、慈愛なのかもしれない。自分でもわからない。でもやるべきことなのは確かだった。
これは死神と呼ばれる日までの記録。
死を慈しむカミサマのお話。
0
お気に入りに追加
98
あなたにおすすめの小説
推しと行く魔法士学園入学旅行~日本で手に入れた辞典は、異世界の最強アイテムでした~
ことのはおり
ファンタジー
渡会 霧(わたらい きり)。36歳。オタク。親ガチャハズレの悲惨な生い立ち。
幸薄き彼女が手にした、一冊の辞典。
それは異世界への、特別招待状。
それは推しと一緒にいられる、ミラクルな魔法アイテム。
それは世界を救済する力を秘めた、最強の武器。
本棚を抜けた先は、物語の中の世界――そこからすべてが、始まる。

邪神降臨~言い伝えの最凶の邪神が現れたので世界は終わり。え、その邪神俺なの…?~
きょろ
ファンタジー
村が魔物に襲われ、戦闘力“1”の主人公は最下級のゴブリンに殴られ死亡した。
しかし、地獄で最強の「氣」をマスターした彼は、地獄より現世へと復活。
地獄での十万年の修行は現世での僅か十秒程度。
晴れて伝説の“最凶の邪神”として復活した主人公は、唯一無二の「氣」の力で世界を収める――。

貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります
内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品]
冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた!
物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。
職人ギルドから追放された美少女ソフィア。
逃亡中の魔法使いノエル。
騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。
彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。
カクヨムにて完結済み。
( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました
向原 行人
ファンタジー
僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。
実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。
そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。
なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!
そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。
だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。
どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。
一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!
僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!
それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?
待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる