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第5章 地獄変
(閑話) 暇を持て余した悪魔達の遊び
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「……暇ね」
「……ですね」
私の横でステビアが真剣な表情で本を読んでいる。デボラ様とベルとキーチローが出張とか言うのに行ってしまってから監視の目が無いのでダラダラ遊ぶことが増えてしまった。というのも作業こそ増えはしたものの広い大地に住処を移した魔獣の類はエサの他は好きに生きているみたい。おかげで小屋の掃除とか糞の処理が減って実はあんまりやる事ないのよね。
そんなわけで、自分の家で華目羅付き渡露遠の送ってくれる映像を
モニタリングしながら暇を持て余していた私とステビア。この子にとっては本は読めるしモニターで動物は見れるし暇でもなんでもないみたいだけど。しかも、何かあったらアルが知らせてくれるし。この間、カブタンがエサを食べすぎてお腹を壊したのも知らせてくれたしすごいわ。この頃食欲旺盛みたい。
「そうだ。私、ケット・シーのノリオと遊んでくる」
「はい。行ってらっしゃい。ローズさん」
こちらに視線をよこすことすらしないままステビアは手を振った。ま、人間界でたくさん本を仕入れてたみたいだしね。しばらくは動かなそう。ノリオと遊んだ後はヴォルの背中で寝かせてもらおう。素敵なプランの出来上がりっ!
「さーて、ノリオは……と」
大体いつもは私の家の中をうろうろしていたり、自分の小屋で寝ていたりしているけど……。
「そうだ。暇だからノリオ探しゲームでもしよっ!」
かくれんぼ感覚で推理と調査を繰り返してノリオに辿り着くのよ! まずは一番目撃頻度が高い暖炉前から! まだ火は入れてないけどなぜかいる事が多いのよね。暖炉のすぐ前か椅子の上がお気に入りみたい。ケット・シーとはいえやっぱりネコなのね。
「いるかなー」
私はリビングのドアをそーっと開けてみた。
「いるのかよ!!」
「にゃにゃ!?」
気持ちよさそうに寝ていたノリオが椅子の上から転げ落ちる。でも、さすがは猫。とっさに身を翻し、足から着地したのはお見事という他ない。だけど……。
拍子抜けよ! がっかりよ! 推理アドベンチャーが台無しよ!
「何にゃ!? 何事にゃ!?」
「探したわよ! ノリオ!」
「僕をお探しでしたかにゃ!?」
「探したかったのよ!!」
「???」
この推理アドベンチャーで退屈を紛らわそうとしていた私の目論見は一瞬で崩壊した。ノリオには全く罪は無いけど。
「ローズさん、遊んでくれるにゃ?」
「そうね、遊びましょう。 私が鬼になるからあなたは逃げるのよ」
「えっ……」
「さあ、お逃げなさいな。後、10秒……」
この私が本気で遊んでアゲル。暇すぎて体力の有り余ってるこの私が……ね!
「目が……ヤバいにゃ。捕まったら何されるかわからんにゃーーーー!」
ノリオが凄い勢いでドアから出ていく。3、2、1……さあ、鬼ごっこのスタートよ! 地獄の鬼と付き合ってたこともあるんだから! 半端な鬼じゃないわよ!
「殺される……、モフり殺されるにゃ! あの目はヤバい奴の目にゃ!!」
「ウフフフフフフフフフフ」
「にゃぎゃーーーーー! ヤバい奴の笑い方にゃ!!」
あらあら、そんなスピードじゃすぐに追いついちゃうわよ! ウフフフフ!
「ヤバいにゃ……どこかに隠れるにゃ……。あそこは……キャラウェイさんの研究室!」
あ、あそこはキャラウェイさんの研究室じゃないの! 私すら入ったことないのに! でもこれは考えようによってはチャンス……? ハプニングを装って入っちゃえば後は……ヒヒヒヒヒヒ。
「キャラウェイさん!! 助けてにゃ!! 変質者が!!」
「んー? ノリオ君。ダメじゃないですかぁ。勝手に入って来ちゃあ……」
「こらー! ノリオったら! ダーメじゃない! キャラウェイさんの部屋に……!!」
キャラウェイさんの部屋に入った瞬間目に飛び込んできたのは泡を吹いて仰向けに倒れているノリオと鳥の生首? らしきものを持ってド変態スマイルで立っているキャラウェイさんその人だった。正直言って私も気絶してしまいたかった。
「ノリオ君はこれを本物と勘違いしたんですかね?」
そう言うとキャラウェイさんは私の手に鳥の生首を差し出した。よく見ると非常に精巧に作りこまれた模型だ。
「聞いてください! ローズさん! デボラさんはさっきちょこっと顔出したらしいのですがすれ違ってしまって……。それでですね! ヒクイドリなんですけど! どうもベスタさん、そろそろ卵を産みそうなのですよ!」
「えっ!? 本当ですか!? だったらベルも喜びます!!」
「そうでしょうとも! 私もインスピレーションが湧いちゃって! これ地獄の土で作った粘土で作ったんです!」
よく見ると確かに着色された部分以外は土の色をしている。しかしこの生気のない目は死体に見えてもしょうがない。ノリオったらあわてんぼうなんだから!
「アル君にも協力してもらってるんですが、ここまで来たらもうデボラさん達にはサプライズにしましょう!」
「そうですね! 帰ってくる頃には卵が産まれてるかもしれませんし!」
「はい!」
予定変更! 後でヒクイドリのアグニとベスタのところへ行ってお祝いしてあげよ!
「……ですね」
私の横でステビアが真剣な表情で本を読んでいる。デボラ様とベルとキーチローが出張とか言うのに行ってしまってから監視の目が無いのでダラダラ遊ぶことが増えてしまった。というのも作業こそ増えはしたものの広い大地に住処を移した魔獣の類はエサの他は好きに生きているみたい。おかげで小屋の掃除とか糞の処理が減って実はあんまりやる事ないのよね。
そんなわけで、自分の家で華目羅付き渡露遠の送ってくれる映像を
モニタリングしながら暇を持て余していた私とステビア。この子にとっては本は読めるしモニターで動物は見れるし暇でもなんでもないみたいだけど。しかも、何かあったらアルが知らせてくれるし。この間、カブタンがエサを食べすぎてお腹を壊したのも知らせてくれたしすごいわ。この頃食欲旺盛みたい。
「そうだ。私、ケット・シーのノリオと遊んでくる」
「はい。行ってらっしゃい。ローズさん」
こちらに視線をよこすことすらしないままステビアは手を振った。ま、人間界でたくさん本を仕入れてたみたいだしね。しばらくは動かなそう。ノリオと遊んだ後はヴォルの背中で寝かせてもらおう。素敵なプランの出来上がりっ!
「さーて、ノリオは……と」
大体いつもは私の家の中をうろうろしていたり、自分の小屋で寝ていたりしているけど……。
「そうだ。暇だからノリオ探しゲームでもしよっ!」
かくれんぼ感覚で推理と調査を繰り返してノリオに辿り着くのよ! まずは一番目撃頻度が高い暖炉前から! まだ火は入れてないけどなぜかいる事が多いのよね。暖炉のすぐ前か椅子の上がお気に入りみたい。ケット・シーとはいえやっぱりネコなのね。
「いるかなー」
私はリビングのドアをそーっと開けてみた。
「いるのかよ!!」
「にゃにゃ!?」
気持ちよさそうに寝ていたノリオが椅子の上から転げ落ちる。でも、さすがは猫。とっさに身を翻し、足から着地したのはお見事という他ない。だけど……。
拍子抜けよ! がっかりよ! 推理アドベンチャーが台無しよ!
「何にゃ!? 何事にゃ!?」
「探したわよ! ノリオ!」
「僕をお探しでしたかにゃ!?」
「探したかったのよ!!」
「???」
この推理アドベンチャーで退屈を紛らわそうとしていた私の目論見は一瞬で崩壊した。ノリオには全く罪は無いけど。
「ローズさん、遊んでくれるにゃ?」
「そうね、遊びましょう。 私が鬼になるからあなたは逃げるのよ」
「えっ……」
「さあ、お逃げなさいな。後、10秒……」
この私が本気で遊んでアゲル。暇すぎて体力の有り余ってるこの私が……ね!
「目が……ヤバいにゃ。捕まったら何されるかわからんにゃーーーー!」
ノリオが凄い勢いでドアから出ていく。3、2、1……さあ、鬼ごっこのスタートよ! 地獄の鬼と付き合ってたこともあるんだから! 半端な鬼じゃないわよ!
「殺される……、モフり殺されるにゃ! あの目はヤバい奴の目にゃ!!」
「ウフフフフフフフフフフ」
「にゃぎゃーーーーー! ヤバい奴の笑い方にゃ!!」
あらあら、そんなスピードじゃすぐに追いついちゃうわよ! ウフフフフ!
「ヤバいにゃ……どこかに隠れるにゃ……。あそこは……キャラウェイさんの研究室!」
あ、あそこはキャラウェイさんの研究室じゃないの! 私すら入ったことないのに! でもこれは考えようによってはチャンス……? ハプニングを装って入っちゃえば後は……ヒヒヒヒヒヒ。
「キャラウェイさん!! 助けてにゃ!! 変質者が!!」
「んー? ノリオ君。ダメじゃないですかぁ。勝手に入って来ちゃあ……」
「こらー! ノリオったら! ダーメじゃない! キャラウェイさんの部屋に……!!」
キャラウェイさんの部屋に入った瞬間目に飛び込んできたのは泡を吹いて仰向けに倒れているノリオと鳥の生首? らしきものを持ってド変態スマイルで立っているキャラウェイさんその人だった。正直言って私も気絶してしまいたかった。
「ノリオ君はこれを本物と勘違いしたんですかね?」
そう言うとキャラウェイさんは私の手に鳥の生首を差し出した。よく見ると非常に精巧に作りこまれた模型だ。
「聞いてください! ローズさん! デボラさんはさっきちょこっと顔出したらしいのですがすれ違ってしまって……。それでですね! ヒクイドリなんですけど! どうもベスタさん、そろそろ卵を産みそうなのですよ!」
「えっ!? 本当ですか!? だったらベルも喜びます!!」
「そうでしょうとも! 私もインスピレーションが湧いちゃって! これ地獄の土で作った粘土で作ったんです!」
よく見ると確かに着色された部分以外は土の色をしている。しかしこの生気のない目は死体に見えてもしょうがない。ノリオったらあわてんぼうなんだから!
「アル君にも協力してもらってるんですが、ここまで来たらもうデボラさん達にはサプライズにしましょう!」
「そうですね! 帰ってくる頃には卵が産まれてるかもしれませんし!」
「はい!」
予定変更! 後でヒクイドリのアグニとベスタのところへ行ってお祝いしてあげよ!
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