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49 (クリス視点 1)
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「あのね、クリス……聞いても良い?クリスは人間の魔力持ちってどう思う?」
コーディーの質問の意図が分からない私は、ただ聞き返すしかない。
「どう、とは?」
少しの躊躇いを見せ、口を開くコーディー。
「僕……亡くなったお母さんが強い魔力持ちだったから。僕は継いでないっぽいけど、クリスにどう思われるのかなって、ちょっと心配……」
コーディーが私の腕の中で顔を上げ、私を見詰める。
だから、何だってこんなに可愛いんだ?その潤んだ瞳で見上げられると、胸の動悸が激しくなる。
「私はコーディーが魔力持ちでも気にしない。人間の魔力持ちは私達翼有人、いや、人間以外の魔力持ちは四大属性のどれかで、人間の魔力持ちとは全然違う魔力ではあるが、大した違いだとは思わない」
確かに、人間の魔力持ちは他の種族とは異なり特殊だが、だからといって嫌悪する事はない。人間以外は。……人間、以外?
「もしかして、他の人間に何か言われた事があるのか?」
「僕がというよりお母さんがね。僕の場合は、お母さんの子供ってことで、避けられたりしたぐらいかな?そのくせ、何か起きたらお母さんを頼るって都合のいい人が多かったけど。すっごく魔力の強い人だったから、僕がその魔力を継いでなくてホッとしたのはお母さんじゃないかな?僕自身は継いでいたとしても全然気にしなかっただろうけどね」
魔力持ちと知って普段は近寄りもしないのに、困った時だけ頼る。実に都合のいい話だ。コーディーの母親とて、好きで魔力を有した訳ではないというのに。
ふと疑問に思ったので聞いてみる。ルーフェンスは知っているのだろうか?
「コーディーの養父やその一族、ルーフェンスは知っているのか?」
溺愛していると言い切っているのにそれを知って心変わりすれば、コーディーは確実に傷付くだろう。何せコーディーは彼等を大好きだと言っていたのだから。
「うん。父様の一族は皆知ってるよ!他の人達と違って父様達はお母さん達を悼〈いた〉んでくれたし。父様はお母さんが生きてる時から知ってたけど、お母さんに対して労りはしたけど嫌悪なんて全くなかったって。何故他の人達が忌み嫌うのか、理解できないって言ってたぐらいで、父様の一族は皆そんな人達ばかりだから、すっごく嬉しかったんだ~♪」
そう言って、満面の笑顔を私に見せるコーディー。心底安堵したのと、コーディーにこんな顔をさせる者達に対する嫉妬が少し入り交じる。
それでもコーディーが傷付かずに済んだ事を一番感謝したのは言うまでもない。ただ、それとは別に、気になる言葉も出てきたのだが。
コーディーの質問の意図が分からない私は、ただ聞き返すしかない。
「どう、とは?」
少しの躊躇いを見せ、口を開くコーディー。
「僕……亡くなったお母さんが強い魔力持ちだったから。僕は継いでないっぽいけど、クリスにどう思われるのかなって、ちょっと心配……」
コーディーが私の腕の中で顔を上げ、私を見詰める。
だから、何だってこんなに可愛いんだ?その潤んだ瞳で見上げられると、胸の動悸が激しくなる。
「私はコーディーが魔力持ちでも気にしない。人間の魔力持ちは私達翼有人、いや、人間以外の魔力持ちは四大属性のどれかで、人間の魔力持ちとは全然違う魔力ではあるが、大した違いだとは思わない」
確かに、人間の魔力持ちは他の種族とは異なり特殊だが、だからといって嫌悪する事はない。人間以外は。……人間、以外?
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「僕がというよりお母さんがね。僕の場合は、お母さんの子供ってことで、避けられたりしたぐらいかな?そのくせ、何か起きたらお母さんを頼るって都合のいい人が多かったけど。すっごく魔力の強い人だったから、僕がその魔力を継いでなくてホッとしたのはお母さんじゃないかな?僕自身は継いでいたとしても全然気にしなかっただろうけどね」
魔力持ちと知って普段は近寄りもしないのに、困った時だけ頼る。実に都合のいい話だ。コーディーの母親とて、好きで魔力を有した訳ではないというのに。
ふと疑問に思ったので聞いてみる。ルーフェンスは知っているのだろうか?
「コーディーの養父やその一族、ルーフェンスは知っているのか?」
溺愛していると言い切っているのにそれを知って心変わりすれば、コーディーは確実に傷付くだろう。何せコーディーは彼等を大好きだと言っていたのだから。
「うん。父様の一族は皆知ってるよ!他の人達と違って父様達はお母さん達を悼〈いた〉んでくれたし。父様はお母さんが生きてる時から知ってたけど、お母さんに対して労りはしたけど嫌悪なんて全くなかったって。何故他の人達が忌み嫌うのか、理解できないって言ってたぐらいで、父様の一族は皆そんな人達ばかりだから、すっごく嬉しかったんだ~♪」
そう言って、満面の笑顔を私に見せるコーディー。心底安堵したのと、コーディーにこんな顔をさせる者達に対する嫉妬が少し入り交じる。
それでもコーディーが傷付かずに済んだ事を一番感謝したのは言うまでもない。ただ、それとは別に、気になる言葉も出てきたのだが。
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