奇跡の確率

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　家を出る前にしっかりと準備をしてから受け渡し所に行って、水鏡の地の空がある方面の荷物を受け取り、ヴェネックを出る。

　クリスには、僕の荷物の上に乗ってもらってる。

　水鏡の地の空がある場所は、僕達でも一月以上掛かるような場所だけど、見る価値はある。

　水が張ってる所もそこそこ広いけど、透明な砕けた石のある範囲はその倍は近くある。そこに民家とかはないけど、旅人がその場でテントを張る分には問題ない。まあ、あまり長居すると、初めて来た旅人だろうと、地霊族の姉様に不審がられるだろうけどね。

　姉様〈彼女〉は人間嫌いじゃないけど、直感が鋭くて、自ら人間と関わろうとはしない。でも、僕と喋ってる時は、とっても嬉しそうにしてたんだ。

　ティナ姉様元気かなぁ？また会えるかなぁ？

　実はティナ姉様、クリスティナ＝クリスタルと言う仮名で名乗ってるんだ♪クリスと名前が被ってるんだよ！容姿の色合いは全然違うけどね。

　ティナ姉様は真っ直ぐな長い銀髪に銀色の瞳。

　人間の前では色を抑えてるらしいけど、僕は地霊族の身内だからと見せてくれた色合いは、髪も瞳も光の反射で虹色に煌めき、瞳に関してはブラウンや黒色にも変化する、とても綺麗で、息を止める程に神秘的な姿だった。

　姉様は僕に、自身の砂と化した石を持って行けばいいと言ってたけど、僕は貰わず、また姉様に会いに何度も会いに来るって約束したんだ♪

　そんな感じであちこちにいる地霊族の姉様や兄様と約束して、近くを通る時は必ず寄ることにしてるんだ♪

　ジジ様は本体ごと移動してるから、僕から会いには行けないと言うか、僕だと居場所が掴めないけど、近くにいる場合はジジ様が気付いて、ジジ様の方から来てくれる。ルー兄がいる場合はルー兄にお知らせしてから来てくれるけど、ジジ様なら突然来ても喜ぶだけだよ。父様の館にいた時も突然来て僕を喜ばせてくれてたから。

　姉様の本体の方にも会ってみたいなぁ。まだ姉様の本体は見たこと無いんだよね。どうせなら、姉様の本体が花を咲かせてる時が良いなぁ。そう思ってるんだけど、中々タイミングが合わないんだよね～。姉様の本体もとても大きな大樹だと聞いてる。春に咲く姉様はとても綺麗なんだろうなぁ。でも、海のある場所って半年近く掛かるって聞くから、秋の武術大会に出るならギリギリとまではいかないけど、どうなんだろう？


｢う～ん、難しいなぁ……｣


　どうせ行くなら、ちょっとはのんびり過ごしたいしね。