出会いと別れと復讐と

カザハナ

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「お嬢、エンヤが怖くないの?」


 ヒューリーが驚いた顔でカルラに問い掛ける。

 実際エンヤに睨み付けられて、逃げ出さない女の子は初めてだった。

 大の大人でもエンヤに睨み付けられたらそそくさと逃げる。それ程エンヤは迫力があるのだ。


「怖い?こんなのに怯んでたら、一生一人旅なんて出来ないわ。それよりあたし、物凄く気になる事があるんだけど……」

「え、何?お嬢の気になる事?」


 カルラは、エンヤよりもティファへと視線を向ける。正確にはその食事風景に。


「……ティファの食べてるのってーー」

「何だ?いらないと言っておきながら、やっぱり欲しいと言う気か?」


 エンヤがカルラを威嚇するかのように低い声で問う。

 (いや、本当にいらない。ってか、問題はそこじゃないっての!)


「そうじゃなくて……。ティファが食べてるのって、干し肉よね?何でそのままかじってるの?」

「え、かじる以外何かあるの?」

「干し肉は長期保存食だ。そんな事も知らないのか?」


 エンヤが馬鹿にするかのように嘲笑うが、カルラとしては、問題はそこでもないし、長期保存食だという事自体、エンヤに言われずとも知っている。


「干し肉は普通、お湯でふやかして食べる物よね?何でそのままかじるのかを聞いてるんだけど?」


 カルラが問うと、二人は不思議そうな顔を見せる。


「……え?」

「何を言ってるんだ?お前は。そのまま食べる物だろうが」


 確かにそのままでも食べれない事はない。しかし、そんな食べ方をするのは軍や荒くれ者、取り分け食事の時間が取れない程、急ぐ場合に限るのだ。

 そんな常識すら知らない守護者にカルラは頭を抱えたくなってきた。

 (ダメだ、この人達……。料理が苦手な人ですら知ってる、干し肉の調理とすら呼べない食べ方を知らないなんて……。今までどんな生活してたのよ!世間知らずにも程があるわ!!)

 男共なんてどうでもいい。とにかく、可愛いティファの食事改善ぐらいはしてあげないとと思い立ち、ティファへと近付く。


「ティファ、そのお肉をちょっと貸してくれるかな?そんな食べ方じゃ、顎が痛くなるでしょう?もっと柔らかくしてあげるから」


 ティファの傍らに座って目線の高さを合わせ、ティファを見ながらにっこり微笑むと、ティファはキョトンとした顔でカルラを見返していたが、カルラが手を出すと、かじっていた干し肉をその手に置いた。
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