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馬の上で一時間程を費やした頃、ザアイが声を掛けて来る。
「少し、休憩を入れましょう。ティファ、何か食べますか?」
ザアイの言葉に即座にティファが頷く。時刻的には日付が変わっている頃だろう。
「お嬢も何か食べる?僕等はティファ捜しに夢中であんまり食べてなかったんだよ」
「おい、ヒューリー。貴重な食料を勝手に分けようとするな」
エンヤがティファを馬から下ろしながらこちらを睨む。
「別にいらないわよ。人拐いのアジトで出されたもの」
「どんな神経してるんだ。毒とか入ってるとは思わないのか?」
「馬鹿じゃないの?売り物に毒入れてどうする気よ。死んだら売り物になんないじゃない。あいつ等にとってあたし達は商品なんだから」
カルラがそう反論をしてる間にティファがエンヤの元を離れ、カルラの側へと寄って来る。
「ティファ?!」
ティファがカルラを背に庇うように、エンヤとの間に入って両手を広げる。まるでカルラを苛めるなと言わんばかりに。
(かっ……可愛い!こういう行動も弟に似てるなぁ)
エンヤはティファの行動に戸惑い、カルラを睨む。
「お前、ティファに何をした?!」
そんなエンヤをカルラは無視して身を屈め、ティファへと話し掛ける。
「大丈夫よティファ。庇ってくれて有難う。お腹空いてるんでしょう?食べておいで」
本当に大丈夫?といった顔をティファがカルラに見せるので、カルラはにっこり微笑み言葉を紡ぐ。
「大丈夫よ。あたしは口で負ける気ないから。それにあの人も、口で負けたからって手を出す人じゃないでしょ?」
(出したら出したで、ティファに思いっ切り嫌われるだけだから、ティファの前では出来ないでしょうしね。ざまぁ♪)
何故、ティファがカルラになつくのかは、今一理解していないカルラだが、カルラはエンヤを確実に鬼門だと認定した。しかし、鬼門だからといって、負け犬のように尻尾を巻いて逃げるような性格をしているカルラではない。
今まで鬼門には理不尽な目に遭わされ続けてきたのだ。
(今更数人増えようが、屈してやる気は毛頭ない。関わり合いにはなりたくないが、向こうが関わってくる分は容赦なんてしてやらないんだから)
子供とは思えない冷めた視線をエンヤに向けるカルラだが、エンヤはその違和感には全く気付かず、カルラを睨み付けてくるのだった。
「少し、休憩を入れましょう。ティファ、何か食べますか?」
ザアイの言葉に即座にティファが頷く。時刻的には日付が変わっている頃だろう。
「お嬢も何か食べる?僕等はティファ捜しに夢中であんまり食べてなかったんだよ」
「おい、ヒューリー。貴重な食料を勝手に分けようとするな」
エンヤがティファを馬から下ろしながらこちらを睨む。
「別にいらないわよ。人拐いのアジトで出されたもの」
「どんな神経してるんだ。毒とか入ってるとは思わないのか?」
「馬鹿じゃないの?売り物に毒入れてどうする気よ。死んだら売り物になんないじゃない。あいつ等にとってあたし達は商品なんだから」
カルラがそう反論をしてる間にティファがエンヤの元を離れ、カルラの側へと寄って来る。
「ティファ?!」
ティファがカルラを背に庇うように、エンヤとの間に入って両手を広げる。まるでカルラを苛めるなと言わんばかりに。
(かっ……可愛い!こういう行動も弟に似てるなぁ)
エンヤはティファの行動に戸惑い、カルラを睨む。
「お前、ティファに何をした?!」
そんなエンヤをカルラは無視して身を屈め、ティファへと話し掛ける。
「大丈夫よティファ。庇ってくれて有難う。お腹空いてるんでしょう?食べておいで」
本当に大丈夫?といった顔をティファがカルラに見せるので、カルラはにっこり微笑み言葉を紡ぐ。
「大丈夫よ。あたしは口で負ける気ないから。それにあの人も、口で負けたからって手を出す人じゃないでしょ?」
(出したら出したで、ティファに思いっ切り嫌われるだけだから、ティファの前では出来ないでしょうしね。ざまぁ♪)
何故、ティファがカルラになつくのかは、今一理解していないカルラだが、カルラはエンヤを確実に鬼門だと認定した。しかし、鬼門だからといって、負け犬のように尻尾を巻いて逃げるような性格をしているカルラではない。
今まで鬼門には理不尽な目に遭わされ続けてきたのだ。
(今更数人増えようが、屈してやる気は毛頭ない。関わり合いにはなりたくないが、向こうが関わってくる分は容赦なんてしてやらないんだから)
子供とは思えない冷めた視線をエンヤに向けるカルラだが、エンヤはその違和感には全く気付かず、カルラを睨み付けてくるのだった。
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