出会いと別れと復讐と

カザハナ

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 その日の夜、檻のある部屋へと何者かの気配が近付いて来る。

 扉がガチャガチャッと鳴り、檻にいた女性達は一斉に扉へと目を向ける。その目には少しの希望と期待。

 だがそれは、扉が開いた後入ってきた二人を見て、絶望へと落とされる。

 そこにいたのは一人の少女と人拐いの一人である男。カルラ達に食事を運んでくる世話係りだ。

 世話係りといっても食事の食器を持ち運びするだけで、他は怯える女性達を眺め、ニヤニヤと下世話な視線を年頃の女性に向けるだけ。

 彼等にとって、女性は商品だ。下手に手を出し怪我をさせようものなら商品の価値が下がる。

 中には散々手を出した後、客に売り付ける売人もいるが、ここの連中は金儲けに力を入れているのだろう。今の所、手を出された女性はいない。


「良かったな。もう一人仲間が増えたぞ」


 扉が外から閉まってから男が檻へと近付く。

 この男を何とか倒した所で外には出られない。出れたとしても、外にこの男の仲間が何人もいる為、直ぐに捕まって終わりだ。それが分かっているから檻が開けられても誰も動こうとしない。

 檻の中へと少女が入れられる。少女は俯き、前髪で顔は見えないが、存在感は強い。


「精々慰めあって祈ってろ。良い買い手に買われますようにってな」


 男は檻に鍵を掛け、扉へと向かう。


「明日は宴だ。豪勢な食事を持ってきてやる。よぉく味わって食べな。それが最後の食事になるかも知れないからな」


 男は持っていた鍵で扉を開けると外に出る。ガチャリッと鍵の掛かる音を残して。





「そんな所に立ってないで、こっちにおいで」


 カルラが先程檻に入れられた少女へと声を掛ける。

 その時、少女が顔を上げ目が合った。その顔は、超絶美少女と言っても良い程だ。

 だが、その顔には何の感情も表れていない。

 (おぉ~。すっごい美少女。可愛い子だなぁ)

 思わず頬が緩むカルラ。そんなカルラをじっと見てから、カルラへと静かに近寄る美少女。

 その髪はカルラのようなストレートではなくウェーブ掛かり、色は多分黒なのだろう、色白の肌が引き立つ。

 元々薄暗い部屋なのと夜という事もあり、少女の瞳の色がはっきり判別出来ないが、黒ではないように思える。

 カルラの髪は背中の中程まであり、その髪を頭の高い位置で一つに纏めているが、少女の髪はもっと長く、足の付け根辺りまで伸びており、そのまま括らず降ろしてる状態だ。
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