出会いと別れと復讐と

カザハナ

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 (よくある事、とはいえ、他の人達は違うんだろうなぁ……)

 他人には言えない事情を抱えるカルラは、改めて周りの状況に溜め息を吐く。

 彼女の周りには若い女性が十数人いるが、昼だというのにその顔色は皆暗く、泣き疲れて眠っている者もいた。

 それもその筈、ここは拐われた女性が入れられた檻の中だからだ。

 明後日、ここにいる女性達は人に売られる事になっていた。

 かくいう彼女、カルラも拐われて来た内の一人だ。

 この世界では珍しくない、藍に近い青の髪と明るい青の瞳。年は十二、三才ぐらいの普通の少女の姿をしている。

 だが、それは仮の姿。

 本来は二十歳前後の女性だが、彼女は常に、自分が子供に見えるよう魔力を使い、姿を変えていた。

 彼女の姿を見破る者がいるとすれば、それは彼女が持つ特殊能力と同じ魔力を持つ者か、魔力とは別の、本質を見抜く眼を持つと言われる神の愛し子とされる神子気質である真眼を持つ者ぐらいだ。

 髪も瞳も本来の色ではないが、それを知る者は側にいない。

 元々、ある目的の為に、危険を承知で一人旅をしているのだ。

 そして、人拐いに拐われる事も、カルラにとって今回が初めてという訳ではない。

 (逃げるのは明日の夜。どうせここの奴等も前祝いをする筈だ。たとえそうでなくとも、どうとでもなる。それまでは大人しく、捕まっててあげるわ)

 ただ、時が過ぎるのを待つ。じっと。
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