出会いと別れと復讐と

カザハナ

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 浴場の洗い場でも、カルラは身体の洗い方を真似させて、桶に入れる湯の量は少なめで良いと告げる。ティファが沢山湯を入れて持ち上げようとし、全く持ち上がらなかったからだ。

 多分ティファはエンヤが満タンに入れてるのを見て、満タンを持たなきゃいけないと思っていたのだろう。そうではなく、持てる重さで良いと知り、目を輝かせている。

 カルラはどれだけ時間が掛かろうと、ティファを急かす事はしない。出来なければ根気強く教え、出来たら褒める。そんな二人を周りは微笑ましく見守ってる状態だ。悪意を向けよう物なら見守り隊と化した周りの女性が排除するに違いない。

 (女性は敵に回すより、同情させて味方に付ける方が得策なのよ。兄馬鹿、馬鹿兄印象を強く植え付けた方が、残念な美形と印象付けられるから絡まれる回数も減るだろうし、過保護過ぎる兄を印象付ければ、ティファが愛し子と疑われる確率も減るわ。あいつ等の印象が悪くても大した問題じゃないから、これで良し)

 喩え文句が出ても、ティファの安全を優先しただけだし、女性達に絡まれる回数が減るんだから一石二鳥だとカルラは言い切るだろう。女好きなら離れて遊べと言うが、彼等にそういった印象はないから、別に問題はないだろう。

 ここは男湯と隣並びで声だけは届くようになっている。勿論覗きが出来ないように、壁は厚く、隙間も上部に有りはするが、どうやっても反対側は覗けない仕組みだ。家族でくる者はここで声を掛け合い、外で待ち合わせる為、カルラも隣に出る事を伝え、ティファと共に脱衣場へと向かい、身体を拭いて服を着る。

 ティファも見よう見真似で身体を拭き、ちゃんと拭けたかカルラが確認してから服を着る。時間は掛かるがティファは頑張り何とか一人で服を着ると、周りの女性達まで褒めてくれた。

 戸惑い気味にカルラを見上げれば、カルラは良かったねとティファに微笑む。それが嬉しくて、ティファもカルラに微笑み返せば周りが固唾を呑む。

 (((何、あの、かわっ、かわかわっ……可愛いの~~~?!!)))

 ギラギラと輝く視線と異様な空気感にティファはビクッと震え、思わずカルラにしがみ付き、顔を隠す。そんな姿も可愛いと、悶えさせてるとも知らずに。

 (その気持ちは解るわ。でも怯えるから程々にね)


「大丈夫よ、ティファ。そろそろ行こう。あのお兄さん達が首を長くして待ってるからね」


 カルラは確信した。今のでティファが、女性達の心を鷲掴みにした事を。
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