出会いと別れと復讐と

カザハナ

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68 (ティファサイド 4)

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 食事処に着き、席を案内されると、ティファが四つあるイスの一つに荷物を置き、他の空席になってるイスの前まで行き、持ってこようとする。


「ティファ?!」

「ちょっと待ってティファ!それは重いから!ティファにはまだ無理だから!ほら、持ち上がらないでしょ、既に手がプルプルしてるし!置いて置いて!」


 普段物を持たずにいるティファが、長時間でないとはいえ、ずっとカルラの荷物を担ぎ疲れているだろうに、イスまで持ってこようとするので慌てて止めるエンヤとヒューリー。


「これを持っていけばいいんだよね?僕が持つからティファはこれを置く場所を教えて。どこに置くの?」


 ヒューリーの言葉にティファは元の席へと戻り、荷物を置いたイスの直ぐ近くで手振りで示す。


「ああ、そこね。了解」

「ティファは何がしたいんだ?」


 エンヤはティファのこの行動の意味に気付いて無いようだが、ティファが示した場所はカルラがいた位置だ。

 ヒューリーがその場所にイスを置くと、ティファがその上にカルラの荷物を乗せる。まるでそこがカルラの場所だと決めてるように。

 (うわぁ~、これ、初日だよ?お嬢がいない間、ずっと続くんだろうなぁ。神の愛し子ティファにここまで好かれてるお嬢って、やっぱ凄いよ……)

 基本、神の愛し子は人や物に執着する事が殆どないと言って良い。だから守護者が入れ替わろうと頓着せず、また、愛し子同士、親子でもそれは変わらないと言われていた。

 実際ティファの母親も神の愛し子だったが、親子の交流は殆ど無かったと言って良い。

 食事の際も、ティファはカルラの荷物をチラチラと気に掛ける程だ。

 (お嬢って何者なんだろ?明らかに普通の子供とは違うんだけど。まぁ、比べられる程、子供と接した事はないけど、能力を使って調べるべきなのかなぁ?ただ、お嬢が能力者だった場合、相性によっては目視出来ない可能性もあるんだよなぁ……)

 ヒューリーの能力は、相手の嘘を見抜く能力で、声の出所から色が視え、その色で嘘かどうかの判別が出来る。相手が普通の魔力無しだと確実に、魔力持ちでもある程度色が視えるのだが、桁外れに強い能力者と能力の相性が悪い能力者は、どれ程視ようと試みても色が全く視えない場合がある。

 カルラの場合、桁外れに強い能力者に当たるのだが、放出型ではない為、大抵の能力者は勘違いする。特に循環型は、魔力測定器にすら低い数値しか示さないから、視えなくとも魔力を感じ取る能力者にですら、気付かれる事は殆どない。

 (何者でもいいから、早く帰って来てくれると有り難いなぁ……。このままじゃ、ティファが主人に捨てられた子犬状態になる……)

 ヒューリーはカルラの帰りをひたすら願った。
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