出会いと別れと復讐と

カザハナ

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 研究所に入り込むのはそれ程難しくない。

 カルラを捕らえた男も、カルラの担当になっていた男も、どちらも研究所内での地位は高いし、その姿をすれば易々と入る事が出来る。それに、入り込むだけならそのままでも普通に入れる。何せ、研究所内の機械の全てを、カルラは乗っとる事が出来るのだから。

 外から研究所の人間を見張る事も出来るし、機械の魔力を変質させる事で、拘束する事すら出来るのだから、カルラの能力は万能だ。

 街を出て直ぐ、勿論周りに誰もいない事を確認してから木に登り、周辺を伺った後、鳥へと変化し、研究所の方向へと飛び立つ。

 歩けば1~2日程掛かるが、鳥の姿なら1時間掛かるかどうかだ。

 建物周辺に目隠しの結界が使われている事もあるが、魔力が常に視え、どんな魔力だろうとカルラが自由自在に操れる能力からすれば、有って無い様な物。

 建物が視認出来る場所まで来て様子を見、外から研究所内のカメラやコンピューターを乗っとり、内部が見聞き出来る場所は全て覗き、他の研究所で集めたデータと比べる。

 (前以まえもって手に入れたデータと大差ないわね。あら?)

 内部は比較的静かだが、一部が騒がしい。

 カルラが一番近いカメラから視ると、一人の男が投薬されながらも、物騒な言葉を並べ立てていた。俺は屈しない、いつか必ずお前等に復讐してやる、死んでも許さねぇ、と。

 研究所員はいつもの事だと、大して気にも留めていないようだが。

 囚われ、実験体モルモットとされた者の大半は、逃げる事も復讐する事も諦め、ただただ無気力になる。カルラとて、一時期は無気力でいた。あまりにも生死の境を彷徨さまよい続けさせられた為に、自分でも生きてるのか死んでるのか判らず、ただただ死を待っているような状況だったからだ。

 カルラが投薬されてる時に、研究所員が何気なくカルラの故郷の村の名を出し、話題に出した為、生死の境を彷徨いながらに所員達の話が聴こえ、村の真相を知った。

 その時の、カルラの怒りがカルラをこの世に呼び戻し、新たな能力が怒りと共に沸き上がり、投薬された実験薬をもカルラの能力を生み出す切っ掛けになり、覚醒したのだろう。化物と呼べる程の能力が。

 (あの男、私と同じかも知れないわね)

 怒りを持続させるのは、かなりの気力が必要だ。だからこそ、カルラは男と直接会う事にした。
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