出会いと別れと復讐と

カザハナ

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 可愛い子を連れての買い物は、得をする事が多い。まぁ、カルラの言う鬼門もだが。

 カルラは昨日買った食材店を巡り、その日の特価品や多様性のある食材を中心にまとめ買いをしていく。勿論代金は彼等持ちだ。


「お嬢ちゃん、昨日来た子だね?まぁ、物凄い可愛い子を連れて!これ、持っていきな」

「わぁ、有難うございます!」


 そう言って、あちこちから差し出される果物等を貰ったり、まとめ買いをする時に値段やおまけをしてくれたりとする店側にお礼をいい、一通りの物を買い付け街を出る。

 街を出て、歩きながら地図を広げ、買った周辺地図と、頭の中にある魔力研究所の関連施設の場所がある地図を見比べる。

 (確か、ここから南東の街の1~2日程離れた場所に支部がある筈ね。彼等は何としてでも街に居てもらわなくちゃ)


「お嬢、どの街に向かうの?」


 カルラが見る地図を覗き込み、ヒューリーがカルラに問い掛けるので、カルラは次に目指す街を指で示す。


「ここよ。この街に知り合いがいるの。多分、1週間から10日程、相手のお屋敷に滞在しなければならないから、あなた達とは別行動よ。見知らぬ人達を連れて行く訳にはいかないの。だから、早々別の街に行ってくれても良いわよ?」


 カルラが内心、じゃあそこで別れると言われる事を願うが、彼等はあっさりカルラの期待を裏切る。


「同行出来ないなら、街の宿屋で待ってるよ。その代わり、お嬢の荷物を預かってもいいかな?」

「……逃げないわよ?」

「うん、まぁ、そうなんだけど……確実にティファが不安がるから。貴重品は勿論持っていってもいいから、駄目かな?」


 断りたい所だが、ティファの為と言われると、何となく断り辛い。

 (私の能力なら、文無しでも旅する事は可能だけど、付いて来られるよりはマシかしら。取り敢えず、ティファの環境改善はしてあげたいから、もう少しは一緒にいた方がティファの為になるもの。こいつ等の無自覚被害を改善しない事には、気になって仕方ないものね)


「……分かったわ。あたしが出掛けてる間、ティファに荷物を預かってもらっててもいいかな?ティファ」


 カルラの言葉にティファはコクコクと首を縦に振り、カルラに満面の笑顔を見せる。

 (何、この可愛い子。こんな男達と一緒にいても、心が歪まず真っ直ぐで、本当に可愛い。真眼持ちって皆こうなのかしら?普通は、女達のやっかみ受けて、多少なりとも歪みそうなのに。さすが神の愛し子と言った所かしら)
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