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~デ・フォン領域~

僕の保護者はラファス兄一択だ。

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 デ・マームへと到着し、ラファス兄とよく利用してた宿屋へと向かう。
 ここデ・マームは、知り合いが多く集まる場所だ。聖騎士団の特殊部隊の兄さん達含む騎士団員達に、世界各地の物を取り扱う商人として有名なファーグ家の商人達、街の一部の子供達とも顔見知りだ。
 僕にとってこのデ・マームは、遊び場と言って良いくらいには馴染みのある場所でもある。ラファス兄との旅で、特によく来る場所だったからね。

「僕は聖騎士団本部に顔を出して来るよ。この前僕を助けてくれた隊長達にも、再度お礼を言っとかなきゃだしね」
「僕も行くよ!君の保護者として!」
「来んな」

 誰が誰の保護者だって?寝言は寝て言え。僕の保護者はラファス兄一択だ。
 因みに母さんは保護者枠でなく家族枠。母さんは元人間だから、赤の血族とはどうしても差が出るんだよ。僕の場合、色合いは赤じゃないけど、紛れもない赤の血族だしね。
 そもそも、この“赤”は、色合いではなく血筋の意味合いだ。古代精霊王の血を継ぐ者達=赤なのだ。つまり、精霊では流す事のない赤い血が流れてるって意味合いだから、容姿の色合いは関係ない。精霊人は人間同様赤い血が流れてるって事で、古代精霊の火の長が、容姿も火の属性をと言い出し、他の長は偏らせるなんてと言い合いになった為、第一子は赤、第二子以降は赤以外の属性になったそうだ。だから、もし僕に将来子供が出来たらその第一子は赤、第二子は赤以外になる。
 赤の血族を育てるのは当然赤の血族で、父さんのいない僕の保護者は当然ラファス兄になる。
 もし、赤の血族の保護者がいなかった場合は精霊達が精霊界にいる古代精霊王に報告するんじゃないかなぁ?そうなったら古代精霊の長達が精霊界から出て来そうだ……。
 うん、ラファス兄がいて良かった。
 保護者代理だったら、聖騎士団の特殊部隊の兄さん達に頼めばいいだけだし、古代精霊の長達にはご遠慮願おう。まぁ、この兄さんに代理と言えど、保護者をさせるぐらいなら保護者なんていらないから。

「保護者名乗る気なら、僕に勝ってからにしろ」
「そうは言ってもラファールは子供なんだから、保護者いるよね?!」
「いらない。僕聖騎士団の本部は顔パスだから」
「えっ、何その羨ましい話は!何で何で?!」
「複数の聖騎士団員達と知り合いだから。僕の後付いてきたり、僕の名前出して本部に近付いたりしたら不審者として捕まっても知らないから」
「そんな大袈裟な」
「前にあったんだよね~。無断で本部の奥に入ろうとして捕まったからって僕を持ち出した人達が。当然僕の知らない人達だし不審者として捕まったけど、兄さんが捕まったら僕知らない人って言うからね。忠告したのに聞かない方が悪いよね?」
「そっ、そんな!」
「本来部外者は内部に入れないからね。僕は度々協力してるから。メカエンジニアとしても剣士としても。兄さんは聖騎士団に認められる程の腕はないよね」

 僕が兄さんをじとっと見てるとアーヤが呆れた声を出す。

「お兄さんにラルの保護者なんて無理に決まってるじゃない。そもそも、実力も資金力もあるラルに、その辺の人が保護者なんかに務まる訳ないわよ」
「保護者ってのは、僕を何からも助け、保護出来る人の事だよ。年齢だけで出来るなんて思わないでね」

 因みに、アーヤとセスの保護者は誰が何と言おうとこの僕だ。この兄さんに二人の保護者を名乗らせる気はない。

「じゃあ僕は聖騎士団本部行ってくる」

 兄さんを放置して、アーヤとセスに声を掛ける。

「「行ってらっしゃい」」



 騎士団本部前に着いて、受付の騎士団員に声を掛ける。

「こんにちは~。特殊部隊の兄さん達に会いたいんだけど、通ってもいい?」
「ラファールじゃないか!いいぞ、通れ通れ」
「わぁ~い、ありがとう~♪」

 僕がそのまま奥へと入って行く。
 昔は僕一人だと、こんなにあっさり入る事が出来なかったんだよねぇ。
 特部のお兄さん達に会わせて下さいって言っても駄目だの一点張りで、用事があっても会わせてもらえない状態だったんだよ。まぁ、アル兄や他の特部の兄さん達がちゃんと受付まで迎えに来てくれたから問題なかったけどね。
 特部の小会議室兼休憩室の扉をノックして開ける。

「こんにちは~。今大丈夫?」

 ちょっとだけ顔を出して声を掛ける。

「「「ラル!」」」
「いらっしゃいラル」
「大丈夫だ、入って来い」

 レノ兄の許可で入室し、その場にいた兄さん達に声を掛ける。

「アル兄レノ兄数日振り~♪レン兄ウィル兄トゥー兄久し振り~♪」

 ウィオラル=ティクス様……ウィル兄は東小ガラファン大陸の王族で召喚士、トゥーサー=スナウザー様……トゥー兄はここデ・マームの東にある砂漠の民でひも使い。
 召喚士は名の通り精霊や精獣等と契約を結び使役し召喚する者、紐使いは自身の魔力で紐を自在に操る。
 紐使いと言われて弱そうと思う人は多いかもだけど、このトゥー兄、ランクは伝説級で、鉄鋼石を簡単に貫通する強度の紐まで作れるのだ。
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