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本編
3 後悔(父親視点)
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仄暗い笑顔で嗤うフィオナの姿を見て、自身の先祖に、死霊使いと呼ばれた当主が過去に居た事を思い出す。
フィオナの能力は、その先祖と同じ能力だと、漸く気付いたのだ。
先祖は、死者蘇生の魔法が使えた。
ただし、死者蘇生と言っても、死者の魂を呼び戻し、隷属化して魂を器に縛る、と言う魔法で、死者を生者に戻す魔法では無い。
その先祖は戦の時代に生まれて、敵味方の死体を操り、圧倒的な戦力として大国にも勝ち続け、英雄と持て囃されたが、戦争が終結する頃、それまでは散々利用していた国が、その能力を神への冒涜、危険視、忌避すべき者として、抹殺しようと終結間際に殺したが、その能力により先祖は不死となり、国を震撼させた。
先祖は自身を殺した者達には報いを受けさせたが、その後彼は死にたくても死ねず、教会や聖職者の祈祷を受けても、気を失うだけで、数千年の時を過ごした。
視覚聴覚は魔力が補助しているのか生前と変わらないが、味覚嗅覚痛覚は感じない。
そんな彼が妖精の愛し子と出会った時、初めて恐怖を感じ、それと同時に自身を殺せるのは妖精の力だと気付いたと、彼の日記に記載されていた。
愛し子に頼み、妖精との仲立ちをして貰うのだと。
これより先の頁が文字で埋められていなければ、死ぬ事が出来たと言う事だと。
これを読んだ子孫は、その結末がどちらか、確かめて欲しいと。
それから先の頁は、白紙のままで終わっていた。
そして、その先祖が残していた日記に、妖精の愛し子に付いて記されていた事を思い出す。
先祖は幻惑、ミイラのような姿を見せたくなかったので、常に生きている人の姿を装おう為に使っていた幻覚の魔法が、彼等には効かなかったと。
そして今更ながらも漸く気付く。追い出した娘が、妖精の愛し子だと。自分達が助かる、唯一の希望だったのだと。
先祖には、子供が居た。
ただしそれは、殺される前に出来た子供で、その末裔が自分達に当たるのだ。
元々この死者蘇生の魔法は、強い未練や怨みが無ければ、魔法を使う本人には使用出来ない。
死霊使いと呼ばれた当主以外にも、過去幾人か、この魔法を使える者も居たらしいが、当人が死者となったのは、後にも先にも、この死霊使いと呼ばれた彼一人だったのだ。
その為、お伽噺や昔話としてしか受け止めておらず、所詮他人事としか感じていなかった。
『お父様、あの妹は死んでいます。動いているけれど、喋っているけれど、フィオナは間違いなく死人です。どうか原因を調べて下さい』
リリシアーナに何度も言われた言葉が、頭の中で繰り返される。
リリシアーナの言葉をきちんと聞いていれば、信じてやっていたならばと、後悔と絶望が胸に押し寄せる。
そうすればきっと、こんな事にはならなかっただろうに。
どれ程悔やんでも、もう遅い。
万が一逃げれた所で、至る所にある墓地の骸を使って後を追われたら、抵抗する術も無く殺されて、隷属させられるだけの話だ。
この先は、生きている時間が長いか短いかの違いだけで、フィオナから解放される事は無いだろう。
聖女や聖人と言われる聖職者でも、どうにも出来なかったと先祖は記載していたのだ。
なのに、聖職者でも無ければ妖精の愛し子でも無いのに、どうこう出来る訳は無い。
先祖は数千年生き、日記は大きく分けて三種類。
生前の物と死後五十年程の物、そして歴史的に残るような出来事を綴った簡素な記述の残りの死人人生。
フィオナが死にたくなった時、リリシアーナが生きているとは限らない。
この先は、どう足掻いた所で、フィオナから逃れる術は無いのだ。
フィオナの能力は、その先祖と同じ能力だと、漸く気付いたのだ。
先祖は、死者蘇生の魔法が使えた。
ただし、死者蘇生と言っても、死者の魂を呼び戻し、隷属化して魂を器に縛る、と言う魔法で、死者を生者に戻す魔法では無い。
その先祖は戦の時代に生まれて、敵味方の死体を操り、圧倒的な戦力として大国にも勝ち続け、英雄と持て囃されたが、戦争が終結する頃、それまでは散々利用していた国が、その能力を神への冒涜、危険視、忌避すべき者として、抹殺しようと終結間際に殺したが、その能力により先祖は不死となり、国を震撼させた。
先祖は自身を殺した者達には報いを受けさせたが、その後彼は死にたくても死ねず、教会や聖職者の祈祷を受けても、気を失うだけで、数千年の時を過ごした。
視覚聴覚は魔力が補助しているのか生前と変わらないが、味覚嗅覚痛覚は感じない。
そんな彼が妖精の愛し子と出会った時、初めて恐怖を感じ、それと同時に自身を殺せるのは妖精の力だと気付いたと、彼の日記に記載されていた。
愛し子に頼み、妖精との仲立ちをして貰うのだと。
これより先の頁が文字で埋められていなければ、死ぬ事が出来たと言う事だと。
これを読んだ子孫は、その結末がどちらか、確かめて欲しいと。
それから先の頁は、白紙のままで終わっていた。
そして、その先祖が残していた日記に、妖精の愛し子に付いて記されていた事を思い出す。
先祖は幻惑、ミイラのような姿を見せたくなかったので、常に生きている人の姿を装おう為に使っていた幻覚の魔法が、彼等には効かなかったと。
そして今更ながらも漸く気付く。追い出した娘が、妖精の愛し子だと。自分達が助かる、唯一の希望だったのだと。
先祖には、子供が居た。
ただしそれは、殺される前に出来た子供で、その末裔が自分達に当たるのだ。
元々この死者蘇生の魔法は、強い未練や怨みが無ければ、魔法を使う本人には使用出来ない。
死霊使いと呼ばれた当主以外にも、過去幾人か、この魔法を使える者も居たらしいが、当人が死者となったのは、後にも先にも、この死霊使いと呼ばれた彼一人だったのだ。
その為、お伽噺や昔話としてしか受け止めておらず、所詮他人事としか感じていなかった。
『お父様、あの妹は死んでいます。動いているけれど、喋っているけれど、フィオナは間違いなく死人です。どうか原因を調べて下さい』
リリシアーナに何度も言われた言葉が、頭の中で繰り返される。
リリシアーナの言葉をきちんと聞いていれば、信じてやっていたならばと、後悔と絶望が胸に押し寄せる。
そうすればきっと、こんな事にはならなかっただろうに。
どれ程悔やんでも、もう遅い。
万が一逃げれた所で、至る所にある墓地の骸を使って後を追われたら、抵抗する術も無く殺されて、隷属させられるだけの話だ。
この先は、生きている時間が長いか短いかの違いだけで、フィオナから解放される事は無いだろう。
聖女や聖人と言われる聖職者でも、どうにも出来なかったと先祖は記載していたのだ。
なのに、聖職者でも無ければ妖精の愛し子でも無いのに、どうこう出来る訳は無い。
先祖は数千年生き、日記は大きく分けて三種類。
生前の物と死後五十年程の物、そして歴史的に残るような出来事を綴った簡素な記述の残りの死人人生。
フィオナが死にたくなった時、リリシアーナが生きているとは限らない。
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