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後日談

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 夜会開始の際に、王家からの発表として、エリオールをレオンの婚約者最有力候補として発表した。

 元々ディーラン国は、王太子の年齢で婚約者候補、婚約者となり、十五に満たないレオンの場合は婚約者候補となる。

 王位に関しても、十八歳未満は継承者で有っても王位には就けず、王位が空席の場合、公爵家の当主の中で、最も王家の血が濃い者が国王代理として、王太子が十八になるまでの中継ぎをするのだ。

 まぁ実際、ディーランでは王位空席の時代は一度も訪れた事は無く、王位争いに発展した事も無い。

 仮に、兄弟間で王位争いが勃発した場合、もれなく恐怖教育+αな勉強会が付与され、大概唆された方が、王位怖いと心底嫌がり、唆した相手を大いに恨む事になるだろう。

 そんな裏事情はともかく、王家側からの婚約者候補の発表は、確定に限りなく近い。

 だからこそ、レオンの祖母が勝手に選んでいた候補者達との口約束とは、天地程との差が有るのだが、そんな事は関係無いとばかりに、しぶとく生き残っていた候補者にも当て嵌まらない候補者達は、内心怒り狂っていた。

 だからこそ、その決定に異議を申し立てた。

 それが愚かな事だとは、気付かぬままに。


「お待ち下さい!!わたくしはハンナ様からレオン様の婚約者候補にと、打診をされていました!」

「わたくしもです!」

「わたくしもですわ!!」

「わたくしだって!!」

「それなのに、何故、わたくしの名は呼ばれないのですか!!」

「そうです!わたくしもですわ!!」

「わたくしだって、呼ばれる権利はありますわ!」

「それを言うならわたくしだって!!」


 デビューしたばかりの年若い令嬢がわめいているが、その内容は聞き流して良い物では無い。

 そもそもの話、退位したお飾りに近い元王妃が、孫に当たる王太子の婚約者を独断で勝手に決めて良い理由わけが無いし、王家の嫁に相応しいかどうかは当然国王や嫁に貰う王太子の意見も必要だ。

 勿論、相手の女性の意思も聞き入れた上でだが。

 ハンナの場合は、同盟国を含む他国での、内乱や戦争が勃発し、他国からの選択肢が消え、国内から選択しなければならなかった事、国内の高位貴族で適齢期に当たる女性が少なかった事、その高位貴族の女性で王家と縁を結びたいと願う女性、婚約者の居ない女性が少なく、他国とこ交流も控えていた時代だったからこそ、政治や経済に詳しく無くても仕方なしと見做されただけの事だ。

 他国の内乱や戦争が終結し、国交に力を入れ、他領域との交流を望む今の時代に、着飾るだけ、国内の流行を追うだけの、都合の良い権利だけを貪る候補者は要らない。

 あの時代だけで充分だ。

 彼女達は、未だに虎の尾を踏んだ事に気付いていない。
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