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後日談

20 (レオン視点)

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 エリオールの御披露目と、レオンの社交界デビューの夜会当日。

 前以て大々的に報せていた事も有り、多くの貴族が参加予定だ。

 エリオールは朝から侍女達に、甲斐甲斐しく世話を焼かれ、時間前にレオンが部屋まで迎えに来た。

 エリオールの容姿は可愛いが、色合いが落ち着いた色合いで、服の色やデザインで地味に見えてしまうのに対し、腹違いの妹姫は、エリオールとは多少違うタイプだが、可愛い容姿で色合いも明るく華やかだったので、よく比べられていたらしい。

 目立ちたくなかったエリオールは、地味に見える色やデザインの服を好んで選んでいたが、着飾る事が嫌いだった訳ではない。

 だから今回、侍女達が目一杯おしゃれをさせてくれて、あまり表情には出てないが、心が踊るような心地なのだろう。

 因みに、表情にはあまり出てないだけで、態度や行動、雰囲気からは出ていた。

 それはもう、バッチリと。

 エリオールのそんな可愛さに、エリオールの専属となった侍女達のときめきが止まらない。

 まぁ、そんな姿も会場入りすれば、微塵も感じさせない程、エリオールは確りと対応するのだろうが。

 そしてそんなエリオールを見て、迎えに来たレオンが内心悶え、照れながらも、可愛い、似合っていると言葉に出すと、普段が無表情を装うエリオールでも、思わず笑顔が溢れる。

 その笑顔を向けられたレオンは、エドワルドがリラに向ける執愛を、心の奥底から理解した。

 エリオールと最初に会った時、エリオールがリラに見せた笑顔に魅せられ、その笑顔を自身に向けられたいと思っていた。

 実際、エリオールにその笑顔を向けられると、一度だけでは足りないし、もっともっとと欲が出る。

 誰にも取られたくないし、囲っていたい。

 ただ、今のレオンには、囲える程の信頼も無ければ、好かれてる自信も無い。

 自分でも、初動対応が悪かった事は自覚しているのだ。

 だからこそ、挽回するチャンスを探して、信用されないといけない。

 今夜の夜会に、不届き者が現れるだろう。

 祖母のハンナが選んだ候補者達なんて、レオンにとっては論外だ。

 それに、他の令息だって油断ならない。

 リラの本性を知り、悔しがっていた所に、リラと似た中身のエリオールが現れたなら、虎視眈々と狙う可能性が高い。

 エドワルドのように冷徹に対処出来る経験や自信は無いが、パートナーのエリオールを傍から離さず、態度や言動でエリオールが大切な存在だと知らしめる事は出来るし、牽制にもなる。

 王族だからと、高慢な態度を取る必要は無いが、下手したてに出る必要も無い。

 教育係ジェフは言っていた。『最初が肝心だ。められるな』と。

 社交界は魑魅魍魎が跋扈する魔窟。

 レオンは気を引き締めて、エリオールをエスコートしたまま会場へと向かった。
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