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本編
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リラは夜会会場へと着いて30分も経たぬ内に、早くも後悔していた。
いくら親しい家繋がりの夜会とはいえ、友人の一人もいない自分がこのような場所に出るなんて、場違いにも程があると。
(本来、お兄様が出る筈だったのに、急な仕事で家に帰る事も儘ならず、お父様は元々仕事で家を空けていたから、夜会に出られるのはわたくしかお母様しかいなかったのだけれど、お母様は違う夜会に出席する手筈になっていたし……。結果、わたくしがここの夜会に出なければならなくなってしまったのは仕方ない事だけど……)
社交界とは結婚相手を見付ける場で、デビューは十三~十五、女性の結婚適齢期は十六から遅くとも二十二ぐらいと言われ、通常二十歳になるまでに求婚者は出揃うとも言われているが、リラはデビュー後一度たりとも求婚をされた事がない。
元々人付き合いが苦手なリラは読書を好み、人が多く集まる夜会やお茶会、パーティーといった場所は極力避けたい場所なのだ。
将来は一生独身、本に囲まれながらのお一人様生活を覚悟しているぐらいだ。
幸い家族は後継ぎの兄を含め、無理に結婚せずともずっと家に居ればいいとさえ言ってくれる優しい家族だ。
兄は公私をきっちり分けるタイプな為、リラ相手に家と外での対応が大いに違うが、それはリラも同じ事。
兄以外に馴染みのない者がいる場所では、大好きな兄に対しても緊張が解けずに武装をしてしまうのだ。
リラにとっての武装とは、正論と言う名の言葉の武装。
兄もリラをよく理解しているし、兄自身、周りの動向を見極める為と、リラに害虫が寄り付かないようにする為、誤解を解かず、寧ろ仲が悪いように見せ掛けているのだ。
そんな兄は、家だとリラに甘く優しい。
外では家と同じ態度が出来ずにすまないと、いつも家でリラに態度を変えて謝り、時間を作ってはリラを構いまくる程、兄はリラを溺愛している。
それはもう、リラの知らない所で暗躍する程に。
公の場で、リラを散々嘲った相手を把握し、その相手の弱味を握り、裏で没落させたり本人が嫌がるような悪縁を結ばせたりするぐらいには。しかも相手に誰が裏で暗躍しているかは悟らせない程の周到振りだったりする。
(……もう、帰りたい。わたくし一人だと主催者側も困るだろうし、帰ってもいいかしら?でも、さすがに今直ぐは時間が短過ぎるわね……)
夜会は情報収集の場でもあるが、友人の一人もいないリラにとって、夜会は煩わしい場所でしかなかった。
いくら親しい家繋がりの夜会とはいえ、友人の一人もいない自分がこのような場所に出るなんて、場違いにも程があると。
(本来、お兄様が出る筈だったのに、急な仕事で家に帰る事も儘ならず、お父様は元々仕事で家を空けていたから、夜会に出られるのはわたくしかお母様しかいなかったのだけれど、お母様は違う夜会に出席する手筈になっていたし……。結果、わたくしがここの夜会に出なければならなくなってしまったのは仕方ない事だけど……)
社交界とは結婚相手を見付ける場で、デビューは十三~十五、女性の結婚適齢期は十六から遅くとも二十二ぐらいと言われ、通常二十歳になるまでに求婚者は出揃うとも言われているが、リラはデビュー後一度たりとも求婚をされた事がない。
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将来は一生独身、本に囲まれながらのお一人様生活を覚悟しているぐらいだ。
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兄は公私をきっちり分けるタイプな為、リラ相手に家と外での対応が大いに違うが、それはリラも同じ事。
兄以外に馴染みのない者がいる場所では、大好きな兄に対しても緊張が解けずに武装をしてしまうのだ。
リラにとっての武装とは、正論と言う名の言葉の武装。
兄もリラをよく理解しているし、兄自身、周りの動向を見極める為と、リラに害虫が寄り付かないようにする為、誤解を解かず、寧ろ仲が悪いように見せ掛けているのだ。
そんな兄は、家だとリラに甘く優しい。
外では家と同じ態度が出来ずにすまないと、いつも家でリラに態度を変えて謝り、時間を作ってはリラを構いまくる程、兄はリラを溺愛している。
それはもう、リラの知らない所で暗躍する程に。
公の場で、リラを散々嘲った相手を把握し、その相手の弱味を握り、裏で没落させたり本人が嫌がるような悪縁を結ばせたりするぐらいには。しかも相手に誰が裏で暗躍しているかは悟らせない程の周到振りだったりする。
(……もう、帰りたい。わたくし一人だと主催者側も困るだろうし、帰ってもいいかしら?でも、さすがに今直ぐは時間が短過ぎるわね……)
夜会は情報収集の場でもあるが、友人の一人もいないリラにとって、夜会は煩わしい場所でしかなかった。
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