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後日談
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ジルギリスの愛娘は、とても綺麗な女性だった。
そして、隣に座る公爵も、人外としか思えない程の美貌の持ち主だ。
その二人の正面に座るのがレオン王太子だろう。
そんな予想をするが、エリオールはレオンには目も向けない。
エリオールは、顔合わせを嫌がり逃げ回る王太子よりも、あのジルギリスの愛娘の方に興味を持っている。
ただ、調べられもせずにここまで連れられて来た事の方に気を取られていたエリオールは、思わずショーン国で、他の貴族に対した時と同じような対応をしてしまう。
自国の者達からは、散々可愛い気が無い、不遜だと言われた言い回しだ。
「初めてお目に掛かります。わたくし、ショーン王国第三王女、エリオール=ショーンと申します。突然の訪問をお許し下さり、有難う御座います。ですが、あまりに無用心では御座いませんか?ここには王子殿下もいらっしゃるのでしょう?」
それをした後、エリオールは失敗してしまった!と内心焦るが、リラは同じような言い回しで返答する。
「わたくし、エドワルド=クルルフォーンの妻の、リラ=クルルフォーンと申します。そうですわね、見知らぬ訪問者を確認もせずに入れるのは無用心ですわ。ですが、ショーン王女が乗ってきた馬車も王宮の物だし、御者も王宮勤めの者。それを知った上で対応した執事は、ショーン王女の顔を知っております。王宮に赴き確認までしておりますので」
二人は無表情で互いに見詰め合うが、その瞳に嫌悪や嘲り、悪意と言った物は、何一つ見受けられない。所か、興味や好奇心と言った好意的な物が、互いの瞳から感じ取れる。
エリオールは、さすがあのジルギリスの娘だと感心するだけだ。
そしてエリオールはレオンの事等すっかり忘れて、キラキラした瞳をリラに向けながら、リラに色々教わると言う口実で、後日リラと会う約束を取り付ける。
そんな事を話していると、エリオールの後ろに控えた侍女が、エリオールにソッと次の予定を耳打ちする。
「申し訳ございませんリラ様。わたくし、予定を変更して、時間を作って貰いましたの。今日の所はこの辺で、王宮に戻らせて頂きますわ。王宮に戻った後は直ぐにでも、予定の確認や調整をし、お手紙を出させて頂きますので、ご了承下さいませ」
無表情を作っているが、その瞳は名残惜しげに輝いている。
「勿論ですわ」
リラの嬉しそうな笑顔に、エリオールも笑顔を浮かべていた。
その様子を見ていたレオンが、エリオールの笑顔に見惚れたかのように固まった。
レオンの様子にエドワルドは、レオンの隣に席を移し、止めとばかりに冷めた声音で、レオンに聴こえるように呟く。
「リラに似た雰囲気の娘だな。ああ、だからお前の婚約者候補にと連れて来たのかもな。とは言え、お前は散々顔合わせから逃げ回り、挨拶すらもしていないのだから、彼女からの第一印象は最悪で、だからお前の存在を気にも掛けなかったのだろう。早めに挽回しなければ、候補から外されて、違う相手を紹介されるだろうな。まぁ、彼女にとってはその方が良いかも知れないが」
エドワルドは、レオンの関心を、最愛の妻よりも、リラに似たエリオールへと向けさせる為に、危機感を抱かせるような言動を取ったのだ。
その言葉を聞いていたレオンの顔色は、徐々に悪くなっていく。
その上エリオールは、お暇の言葉を告げると、レオンに見向きもせず、その場から立ち去ったので、レオンは慌てて後を追ったが、何と話し掛けようかと迷ってる内に、エリオールは馬車に乗り込み、レオンに気付く事無く出発されてしまったのだった。
そして、隣に座る公爵も、人外としか思えない程の美貌の持ち主だ。
その二人の正面に座るのがレオン王太子だろう。
そんな予想をするが、エリオールはレオンには目も向けない。
エリオールは、顔合わせを嫌がり逃げ回る王太子よりも、あのジルギリスの愛娘の方に興味を持っている。
ただ、調べられもせずにここまで連れられて来た事の方に気を取られていたエリオールは、思わずショーン国で、他の貴族に対した時と同じような対応をしてしまう。
自国の者達からは、散々可愛い気が無い、不遜だと言われた言い回しだ。
「初めてお目に掛かります。わたくし、ショーン王国第三王女、エリオール=ショーンと申します。突然の訪問をお許し下さり、有難う御座います。ですが、あまりに無用心では御座いませんか?ここには王子殿下もいらっしゃるのでしょう?」
それをした後、エリオールは失敗してしまった!と内心焦るが、リラは同じような言い回しで返答する。
「わたくし、エドワルド=クルルフォーンの妻の、リラ=クルルフォーンと申します。そうですわね、見知らぬ訪問者を確認もせずに入れるのは無用心ですわ。ですが、ショーン王女が乗ってきた馬車も王宮の物だし、御者も王宮勤めの者。それを知った上で対応した執事は、ショーン王女の顔を知っております。王宮に赴き確認までしておりますので」
二人は無表情で互いに見詰め合うが、その瞳に嫌悪や嘲り、悪意と言った物は、何一つ見受けられない。所か、興味や好奇心と言った好意的な物が、互いの瞳から感じ取れる。
エリオールは、さすがあのジルギリスの娘だと感心するだけだ。
そしてエリオールはレオンの事等すっかり忘れて、キラキラした瞳をリラに向けながら、リラに色々教わると言う口実で、後日リラと会う約束を取り付ける。
そんな事を話していると、エリオールの後ろに控えた侍女が、エリオールにソッと次の予定を耳打ちする。
「申し訳ございませんリラ様。わたくし、予定を変更して、時間を作って貰いましたの。今日の所はこの辺で、王宮に戻らせて頂きますわ。王宮に戻った後は直ぐにでも、予定の確認や調整をし、お手紙を出させて頂きますので、ご了承下さいませ」
無表情を作っているが、その瞳は名残惜しげに輝いている。
「勿論ですわ」
リラの嬉しそうな笑顔に、エリオールも笑顔を浮かべていた。
その様子を見ていたレオンが、エリオールの笑顔に見惚れたかのように固まった。
レオンの様子にエドワルドは、レオンの隣に席を移し、止めとばかりに冷めた声音で、レオンに聴こえるように呟く。
「リラに似た雰囲気の娘だな。ああ、だからお前の婚約者候補にと連れて来たのかもな。とは言え、お前は散々顔合わせから逃げ回り、挨拶すらもしていないのだから、彼女からの第一印象は最悪で、だからお前の存在を気にも掛けなかったのだろう。早めに挽回しなければ、候補から外されて、違う相手を紹介されるだろうな。まぁ、彼女にとってはその方が良いかも知れないが」
エドワルドは、レオンの関心を、最愛の妻よりも、リラに似たエリオールへと向けさせる為に、危機感を抱かせるような言動を取ったのだ。
その言葉を聞いていたレオンの顔色は、徐々に悪くなっていく。
その上エリオールは、お暇の言葉を告げると、レオンに見向きもせず、その場から立ち去ったので、レオンは慌てて後を追ったが、何と話し掛けようかと迷ってる内に、エリオールは馬車に乗り込み、レオンに気付く事無く出発されてしまったのだった。
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