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後日談
レオンの婚約者 1
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「初めまして、わたくしエリオール=ショーンと申します」
エリオールは今、ディーラン王国からは遠いショーン王国からやって来て、ディーラン国王夫妻と初めて顔合わせをした所だ。
ディーラン国の王太子、レオンの婚約者候補として、ディーラン国外交官のジルギリス=エヴァンスの要請で、この国を訪れている。
エリオールがジルギリスと出会ったのは二年前。
エドワルドがリラと婚約する少し前で、ディーラン国王妃、アナスタシアの故郷の国へと訪問した帰り、立ち寄った国の一つだった。
因みにエリオールはレオンと同い年だが、その境遇の所為か、とても冷めていた。
エリオールの国は王に限り、一夫多妻制で、元々エリオールを含めた王女は四人、王子は五人居たが、現在上の王女は二人嫁ぎ、王子は三人亡くなっている為、王国には王女が二人、王子が二人、計四人が王位継承権を持っている。
エリオールはショーン王国が大嫌いだった。
一夫多妻だからと言うよりも、兄弟姉妹で王位を争う事に。
否、もっと明け透けに言うと、兄弟姉妹で殺し合いに発展し兼ねるような、ドロドロの王位争いをさせる王家の方針にだ。
国王は男女拘らず、最も秀でた優秀な者に王位を継承させる。
その為に、兄弟姉妹で競わせるのだが、基本、相手を殺す事は禁止だが、これは表向きの話で、証拠が無ければ何をしたって問題にはならない。勿論、暗殺もだ。
ただ、殺害や犯罪の証拠が出た場合は、当然死刑や王位継承権の剥奪等になる。
側近や取り巻きの貴族に罪を擦り付ける事も可能だが、側近や取り巻きの制御すら出来ない無能と判断される事も有るし、他の王位継承者からも当然批難される。
エリオールは元々、王位に対して興味は全く無いと言ってもいい。
それでも自ら継承権を放棄する事は許されないのだ。
それに、王位に興味は無いと言っても、それを鵜呑みにする継承者は居ない。
現にエリオールは過去、数え切れない程危険な目に合っている。
唯一逃れられる方法は、他国に嫁ぐか婿入りするかだが、近隣の場合は王位簒奪を目論んでいると警戒されても仕方が無いだろう。
ショーン王国の歴史を振り返っても、そのような事を企んだ者が、戦争を引き起こしたと言われる過去も有るのだから。
因みに上の二人の王女は、王位継承権の争いに負けて、他国に嫁がされたのだが、嫁ぎ先となった国では、奴隷のような生活を送らされる事になるだろうと聞いた。
そして、亡くなった王子の内の一人は、他の王子に暗殺され、暗殺した王子は証拠が見付かり処刑されたのだ。
もう一人の王子の死因は病とされているが、それも定かでは無い。
そう。それが敗者の末路と言ってもいい。
そうさせない為に、エリオールは只管模索した。
ショーン王国が逆らえない国。ショーン王国との距離が有る国。もしくはエリオールが嫁ぐ事で、双方にとって利益となる国。
国内は敵だらけ。同母の兄が一人居るが、その兄が味方になってくれるとは限らない。
これまで何度も危険な目に合ったが、実兄の手の者が居なかったとは言い切れないからだ。
そんな中、遠い国の外交官がショーン王国に数日滞在すると知り、どうにか誰にも悟られずに、その外交官と接触出来ないかと試行錯誤をしていたら、エリオールの前に現れたのだ。その外交官達と、エリオールを狙った刺客が、エリオールの前に。
エリオールは今、ディーラン王国からは遠いショーン王国からやって来て、ディーラン国王夫妻と初めて顔合わせをした所だ。
ディーラン国の王太子、レオンの婚約者候補として、ディーラン国外交官のジルギリス=エヴァンスの要請で、この国を訪れている。
エリオールがジルギリスと出会ったのは二年前。
エドワルドがリラと婚約する少し前で、ディーラン国王妃、アナスタシアの故郷の国へと訪問した帰り、立ち寄った国の一つだった。
因みにエリオールはレオンと同い年だが、その境遇の所為か、とても冷めていた。
エリオールの国は王に限り、一夫多妻制で、元々エリオールを含めた王女は四人、王子は五人居たが、現在上の王女は二人嫁ぎ、王子は三人亡くなっている為、王国には王女が二人、王子が二人、計四人が王位継承権を持っている。
エリオールはショーン王国が大嫌いだった。
一夫多妻だからと言うよりも、兄弟姉妹で王位を争う事に。
否、もっと明け透けに言うと、兄弟姉妹で殺し合いに発展し兼ねるような、ドロドロの王位争いをさせる王家の方針にだ。
国王は男女拘らず、最も秀でた優秀な者に王位を継承させる。
その為に、兄弟姉妹で競わせるのだが、基本、相手を殺す事は禁止だが、これは表向きの話で、証拠が無ければ何をしたって問題にはならない。勿論、暗殺もだ。
ただ、殺害や犯罪の証拠が出た場合は、当然死刑や王位継承権の剥奪等になる。
側近や取り巻きの貴族に罪を擦り付ける事も可能だが、側近や取り巻きの制御すら出来ない無能と判断される事も有るし、他の王位継承者からも当然批難される。
エリオールは元々、王位に対して興味は全く無いと言ってもいい。
それでも自ら継承権を放棄する事は許されないのだ。
それに、王位に興味は無いと言っても、それを鵜呑みにする継承者は居ない。
現にエリオールは過去、数え切れない程危険な目に合っている。
唯一逃れられる方法は、他国に嫁ぐか婿入りするかだが、近隣の場合は王位簒奪を目論んでいると警戒されても仕方が無いだろう。
ショーン王国の歴史を振り返っても、そのような事を企んだ者が、戦争を引き起こしたと言われる過去も有るのだから。
因みに上の二人の王女は、王位継承権の争いに負けて、他国に嫁がされたのだが、嫁ぎ先となった国では、奴隷のような生活を送らされる事になるだろうと聞いた。
そして、亡くなった王子の内の一人は、他の王子に暗殺され、暗殺した王子は証拠が見付かり処刑されたのだ。
もう一人の王子の死因は病とされているが、それも定かでは無い。
そう。それが敗者の末路と言ってもいい。
そうさせない為に、エリオールは只管模索した。
ショーン王国が逆らえない国。ショーン王国との距離が有る国。もしくはエリオールが嫁ぐ事で、双方にとって利益となる国。
国内は敵だらけ。同母の兄が一人居るが、その兄が味方になってくれるとは限らない。
これまで何度も危険な目に合ったが、実兄の手の者が居なかったとは言い切れないからだ。
そんな中、遠い国の外交官がショーン王国に数日滞在すると知り、どうにか誰にも悟られずに、その外交官と接触出来ないかと試行錯誤をしていたら、エリオールの前に現れたのだ。その外交官達と、エリオールを狙った刺客が、エリオールの前に。
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