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後日談

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 ルークスは三枚の署名欄に、ローレン侯爵とミルド侯爵に承諾のサインを書かせ、各々に一枚ずつ渡す。


「そちらの身内にも、必ずこの誓約書を理解させて下さいね。知らなかったからでは通用しませんから。暫くは監視が付くかも知れませんが、信頼を失墜させる行動を起こされたのはそちらなので、仕方が無いかと。それに、誓約を守れば問題は無い筈です。ただし、不穏な行動は控えて下さいね?賊退治で武力を集める場合でも、謀叛を起こすと勘違いされる可能性も有りますから、申請書を出すのが無難かと。まぁ、武力行使をされた所で、こちらは一向に構いませんが、ローレン家やローズウッド家、セイル家を敵に回したがる者は少ないでしょうね」


 ルークスの言葉に、ミルド侯爵は顔色の悪いまま嘆願する。


「息子は、本当にミリアム嬢の事が好きだったんだ。せめて、最後に一度だけでも、ミリアム嬢と会わせてやってはくれないか?」


 その言葉に、ルークスは軽蔑の眼差しを向けて、辛辣な言葉を述べる。


「そんな戯れ言を、何故こちらが聞き入れなければならないのです?ミリアムの事が好きなら尚の事、婚約破棄等言い出さなければ良かっただけですよね?好きなら、何をしても良いとでも?今更ミリアムに情で訴えても、何もなりませんよ。寧ろ、迷惑でしか無い。懺悔をすれば、そちらの気が済むのかも知れませんが、それを許せばミリアムに、応えられないと言う罪悪感を抱かせるだけです。ミリアムは既に、新たな婚約者と、共に歩む道を歩き始めています。その光り輝く道に、不要な影を落とさないで頂きたい。貴方の子息との道は、既に閉ざされているのだから」


 今まで沈黙を貫いていた、ローレン侯爵も口を開く。


「そちらとの婚約は政略だ。だが私は、娘を私と同じように大切に扱い、幸せにするとの言葉に婚約を結んだ。娘を大切に、幸せにしてくれる男なら、平民だろうと下位貴族だろうと、貧しかろうと武芸が出来なかろうと、構わなかったんだ。勿論、貴方の息子でも。だが、貴方の息子はどうだった?大切にする所か、私の娘に暴言を吐き、世間の笑い者にして、娘を深く傷付けた。口先だけで、全く信用も出来ない、そんな男とその家族に、私の大切な娘を託す気は無い。息子共々、二度と近寄らないでくれ」


 笑顔を消したルークスとローレン侯爵の、怒気の宿る冷たい眼差しを受け、ミルド侯爵はガックリと項垂れ、最後に謝罪だけを残し、ローレン邸を去ったのだった。
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