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後日談
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ミリアムの元婚約者の家では、王宮の噂を耳にして、侯爵が顔を青ざめさせていた。
息子が原因とは言え、同格の貴族子息は既に婚約者が居るだろうし、格下の貴族が相手だと、ミリアムの生活基準が落ちるし、相手の子息も嫁の方が家格や武芸が上となれば、引け目に感じて嫌がるに違いないから、当分の間は相手が見付からないだろうと高を括っていた。
それに、爵位の無い平民に嫁がせれば、そんな相手にしか嫁げなかったのかと社交の場で更なる笑い者にされるから、ちょっとした行き違い、嫉妬した息子が起こした痴話喧嘩として婚約を継続して欲しいと頼み込んでいたのだ。
当然息子には再教育を施すし、息子を一から鍛えて貰っても構わないと言って有るし、行き遅れと言われるよりかは良いだろうとも言って置いた。
ただ、ミリアムの父のローレン侯爵からは、色好い返事は貰えてはいないが。
それでも次の婚約が決まるまではと何度も手紙を出していたし、そんな直ぐに次の婚約が決まるとは思ってもいなかったのだから、噂を聞くまでは、長期戦の構えで居たのだ。
きっとローレン侯爵が折れるだろうと。
それなのに、ミリアムに次の婚約話が進んでいる事にも驚きだが、その相手は予想すらしていない相手だった。
相手が普通の平民ならば、歯牙にも掛けなかっただろう。
だが、今回の相手はただの平民では無い。
元エヴァンス侯爵家の使用人で、現在はクルルフォーン公爵家の使用人。その上、ローズウッド公爵とも縁が有り、国王陛下夫妻とも面識が有ると言われている。そして、騎士達の間で他国の王族だか貴族だかと囁かれている前国王陛下のお墨付きで、前近衛団長と現近衛団長の指導をした凄腕の指南者と言われている男の愛弟子だ。
二つの公爵家と縁が有り、尚且つ代々国の中枢を担う侯爵家とまで縁が有り、国王陛下夫妻の覚え目出度い人材なんて、そうは居ない。
それが平民なら尚更だし、そんな人材なら平民だろうとどこの貴族家だろうと是が非でも獲得したい逸材だろう。
この話が、突拍子も無い単なる眉唾物なら笑い飛ばせるだろうが、噂の出所はミリアムの従兄に当たるローズウッド公爵の次男。
しかも、ミリアムの噂は、その次男とセットと言う形で流れているのだから、信憑性は高いだろう。
早急に事実確認をしなければと、ローレン侯爵家に、至急会って話したいと記した手紙を出し、何とか約束を取り付けた。
そして約束の日の当日。
ローレン邸にてルークスが待ち構えて居た事すら知らずに、侯爵はローレン邸へと向かったのだった。
息子が原因とは言え、同格の貴族子息は既に婚約者が居るだろうし、格下の貴族が相手だと、ミリアムの生活基準が落ちるし、相手の子息も嫁の方が家格や武芸が上となれば、引け目に感じて嫌がるに違いないから、当分の間は相手が見付からないだろうと高を括っていた。
それに、爵位の無い平民に嫁がせれば、そんな相手にしか嫁げなかったのかと社交の場で更なる笑い者にされるから、ちょっとした行き違い、嫉妬した息子が起こした痴話喧嘩として婚約を継続して欲しいと頼み込んでいたのだ。
当然息子には再教育を施すし、息子を一から鍛えて貰っても構わないと言って有るし、行き遅れと言われるよりかは良いだろうとも言って置いた。
ただ、ミリアムの父のローレン侯爵からは、色好い返事は貰えてはいないが。
それでも次の婚約が決まるまではと何度も手紙を出していたし、そんな直ぐに次の婚約が決まるとは思ってもいなかったのだから、噂を聞くまでは、長期戦の構えで居たのだ。
きっとローレン侯爵が折れるだろうと。
それなのに、ミリアムに次の婚約話が進んでいる事にも驚きだが、その相手は予想すらしていない相手だった。
相手が普通の平民ならば、歯牙にも掛けなかっただろう。
だが、今回の相手はただの平民では無い。
元エヴァンス侯爵家の使用人で、現在はクルルフォーン公爵家の使用人。その上、ローズウッド公爵とも縁が有り、国王陛下夫妻とも面識が有ると言われている。そして、騎士達の間で他国の王族だか貴族だかと囁かれている前国王陛下のお墨付きで、前近衛団長と現近衛団長の指導をした凄腕の指南者と言われている男の愛弟子だ。
二つの公爵家と縁が有り、尚且つ代々国の中枢を担う侯爵家とまで縁が有り、国王陛下夫妻の覚え目出度い人材なんて、そうは居ない。
それが平民なら尚更だし、そんな人材なら平民だろうとどこの貴族家だろうと是が非でも獲得したい逸材だろう。
この話が、突拍子も無い単なる眉唾物なら笑い飛ばせるだろうが、噂の出所はミリアムの従兄に当たるローズウッド公爵の次男。
しかも、ミリアムの噂は、その次男とセットと言う形で流れているのだから、信憑性は高いだろう。
早急に事実確認をしなければと、ローレン侯爵家に、至急会って話したいと記した手紙を出し、何とか約束を取り付けた。
そして約束の日の当日。
ローレン邸にてルークスが待ち構えて居た事すら知らずに、侯爵はローレン邸へと向かったのだった。
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