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後日談

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「では改めて、私と結婚する為に、婚約を結んで頂けますか?ルナ」


  ルークスは再びルナと目線を合わせた状態で、ルナに問い掛ける。


「ん!ルナする!ルークと結婚!」

「まぁ、これでも貴族の端くれなので、準備に時間が掛かり、実際結婚するのは最低でも一~二年後になると思いますが、心配する事は無いので、じっくりゆっくり仲良くなりましょうね」


 ルークスとルナだけならもう少し早くに結婚出来るだろうが、どうせならルネとも同じ年の、同じ日に合わせた方が、ルネも寂しく思う事は無いだろうし、二人を引き離す気の無いルークスは、のんびり楽しみながら待とうと思っている。

 当然その間に、ミリアムの前婚約者の家とも言える婚約問題もキッチリと介入して片を付けるつもりだ。

 相手の息子が独断でやらかした不始末が原因だが、婚約破棄の理由がミリアムへの嘲笑を助長している。

 その為相手側は、ミリアムの次の婚約相手は早々に見付かる事は無いと、高を括ってる節が有り、息子を教育し直せば、何とかなると思っていそうなので、そんな思惑は早々に叩き潰すに限る。

 ルークスにとってミリアムは妹としか思えないが、それでも可愛い妹分だ。

 そのミリアムの心を、深く傷付けた男に、チャンスを与えてやる気は毛頭無い。

 ルネは平民とは言え、クルルフォーン公爵とローズウッド公爵に縁の有る者で、更には国王陛下夫妻とも面識が有る。

 片や、誰もが喉から手が出る程に欲しがる優秀な人材と、片や、公衆の面前で婚約破棄を言い渡すような考え無しの阿呆で、貴族の嫡男と言う取り柄しか無い凡庸な人材等、どちらがいいかなんて考えるまでも無い。

 ルークスはクルルフォーン邸を出た後、ミリアムを家に送る序でに、この良縁話を叔父に話すつもりだ。

 元々ミリアムの家は侯爵家としては珍しい部類で、平民との結婚に忌避感は無く、優秀な武官を縁戚に迎え入れてる事が多い。

 ミリアムの相手だった家は、自領に賊が出没し、根絶やしする事が出来ずに、年々被害が増加し、徐々に治安も悪くなりつつ有る為、優秀な武官の出が多いローレン家から戦力を借り、出費と賊を無くす為に、嫡男とミリアムの婚約を結んでいた。

 ローレン家としては、それ程のメリットは無いが、ミリアムを大切にしてくれるのならと結んだ婚約だったのだ。

 それをその嫡男が、自領は治安が良いし、何か有れば護衛が助けてくれると、ミリアムを連れて出掛け、破落戸に絡まれてしまい、ミリアムに助けられたのに、男の面子や矜持が潰されたと逆恨みし、公衆の面前で有る事無い事を言い放ち、婚約破棄を言い付けたのだから、ローレン家が怒るのも当然だ。

 向こうの親は、息子の言葉でミリアムの次の婚約が駄目になるだろうから、息子に責任を取らせたい、何なら息子を鍛えてくれても構わないと、しつこく粘っているそうだが、ルネと言う明らかに好条件の相手が居るなら、諦めるしかないだろう。

 ミリアムへの莫大な慰謝料支払いと、賊退治に掛かる費用、賊に依る被害額を合わせると、とんでもない金額になるだろうが、没落しようと後悔しようと、こちらの知った事では無い。
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