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後日談

双子達 1

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 ルナとルネは双子の姉弟で、その外見は鏡に写したかのようにそっくりで、双子をよく知る者達以外は見分けが付けられない程だった。

 そして民族性か、小柄で童顔な為、年よりも若く見られる事が多い。

 そんな双子達は武芸が大好きで、性格は違うものの、鍛練が大好きだ。

 双子達は元々、ローズウッド公爵領に有る山脈……と言っても、ローズウッド領だけで無く、幾つもの領に連なっている山脈で、隣国ドレファンと、ディーランの国境に当たる山岳地帯を住処すみかにしている狩猟部族、アイザーク族と呼ばれている部族の者だが、十二才の頃に両親と死別し、獣を追い、狩った獣の毛皮を売る為、街へと下りたが、獣を追う内にローズウッド領から遠く離れ、言葉が片言だったのと、子供だと言う事で、欲を出した商人が安く買い叩こうとし、それに反発した双子が売らずに店を出ると、商品を盗んだと冤罪を掛け、貴族をも巻き込んで騒いでいた所を、王都からエヴァンス領へと帰る途中のリラの乗った馬車が通り掛かり、馬車の中でアイザーク語を聴いたリラが馬車を止めて話を聞いたのだ。

 その際、商人は『盗人だ!商品を返せ!!』と騒ぎ、偶々近くを通り掛かった伯爵令息が馬車を降りた為、その伯爵令息を味方に引き込む為に、双子達の持ってる商品を取り返してくれたなら、商品を安く売りますと言い、盗人として捕らえて欲しいと言っていた。


    その為リラがアイザーク語で双子に話し掛け、事情を聞き出すと商人を問い詰める。

 最初は女子供を相手に侮っていた商人だが、勘違いだったと顔面蒼白で平謝りする羽目になるとは思ってもいなかっただろう。

 リラはその場を凍てつかせた。

 氷結と呼ばれるその渾名の如く。


「この者達は、アイザーク族と呼ばれる狩猟民族で、今から七十年程前、ローズウッド領のアウラ地方で、千以上の数の敵兵を三百程の兵で打ち払った時に有志として、百名程が一時的な兵に志願した協力者であり、功労者の多くいた部族ですわ。当然貴族で有るならば、アウラ防衛戦をご存知かと思われますが、ローズウッド公爵家は、アイザーク族に多大な恩を感じて居られるとか。当然公爵家では、代々アイザーク語を学んでいらっしゃるそうですし、わたくしの言葉に信憑性が無いと仰るので有れば、ローズウッド公爵家に、この者達の保護を願い出ましょう。ああ、彼等が盗人と仰いましたね。ならば彼等に同じ種類の獲物を狩って来て頂きましょうか。彼等が狩って来れるので有れば、盗む必要性は有りませんもの。あら?どうかなさいまして?ローズウッド公爵家の方々は公正な方々と窺っておりますわ。虚偽で無ければ堂々と対峙なされば宜しいのです」


 その凍てつく寒さに巻き添えを食らった伯爵令息は、当然その商人を赦さなかった。

 何せ、エヴァンス侯爵家だけで無く、ローズウッド公爵家をも、敵に回し兼ねない状況だったのだから。
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